『傾聴力アップ』
◎「聞く」、「聴く」、「訊く」!
●聴き取り下手を変える3つの力(傾聴力をアップさせる)
1つ目が感情移入して「聞く」、感情移入の力。2つ目に「聴く」力、
これは感情に振り回されずにコントロールしながら相手に無条件の関心を向ける
感情コントロールの力です。そして3つ目が、上手な質問をして「訊く」力、質問技法のことです。
1つ目の感情移入の力とは、相手の立場になって考えることです。
まず、相手が今から5分前、10分前に、どんな場面にいたかを動画を見るようにイメージして、
「さて、その場面からすると、相手は今どんな気持ちでいるのだろう? 」と考えてみましょう。
これは、カウンセリング学で「共感」とも呼ばれる作業です。
こうやって考えますと、例えば、今目の前にいる部下に仕事をたくさん言いつけたとして、
彼が「できるとは思うのですが……」と答えを渋っているのを見ると、
「そうか、彼の家では昨日不幸があったばかりだ。きっとまだ、そのことで
心がいっぱいなのだろう。よし、時を改めよう」と渋る理由に思い至ります。
すると、適切な励ましや称賛、承認の言葉が自然と口をついて出てきます。
感情移入が上手な人は「イメージする力」が強い人ですが、相手の立場を具体的に思い描く
訓練をいつも意識的に行っておりますと、次第にイメージする力が上がっていきます。
2つ目の感情コントロールについては、人は良い感情よりも、否定的感情を持ちやすく、
心に否定的感情があるときには、相手の話が耳に入りません。そして、人は否定的感情こそ、
人に聞いてほしい。これが「人間心理の原則」ということが挙げられております。
社内で部下や同僚と話すとき、最もコントロールが必要な感情が、
自分の中の「怒り」や「責め」の気持ちです。
例えば、「アイツがしていることは、ろくなことではないだろう。本当に困ったヤツだ」と
いった「責め」の気持ちがあれば、何を言われてもすべてネガティブにとらえて聞くので、
相手が言っていることの正当性がわからなくなってしまいます。そのため、相手に対して
「責め」の気持ちで話を聞くのは、判断ミスに繋がります。
逆に、自分が猛烈に嬉しくて有頂天になって浮かれていると、
部下が持ってきた深刻な話が耳に入りません。
トップに立つ人ほど、感情コントロールの訓練が必要です。トップはつい「自分はエライ」と
いう強い自意識を持ちがちですが、その傲慢な感情をコントロールしませんと、
正確な情報を聴き取ることはできません。
3つ目の質問技法は、質問することによって相手の話の内容を的確に絞ることができ、
また、いい質問は相手のやる気を喚起する効果があります。
「明日、僕のプレゼンに質問が出ないといいけれど……」と思う日本人は多いものですが、
質問をネガティブな行いだと思うのは誤解です。
建設的な内容であれば多く質問が出たほうが、より的が絞られ、不明点は質疑応答の中で
自然に解決され、より良い仕事や企画に仕上がっていきます。
相手の話をよく聴いて、質問は個条書きに絞って、短く、的確に訊くこと。
そして、答えるほうも的を絞って答えることが肝心です。
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