『苦手な人への効果手法』

『苦手な人への効果手法』

 ◎ストレートにものを言っても通じない相手を従わせるための奥の手!

いまどきのフラットな組織では、「命令」ははやりません。しかしながら、「協働」の時代、人を思うように動かすのは至難の業です。

ではどうしますか?

ポイントは、苦手な相手を従わせる「場の空気」のつくり方と

直接言ってもだめなら「それとなく頼む」というスタンスです。

人を管理することはかつてほど簡単ではなくなっています。企業はフラット化し、

「命令」よりも「協働」で働くようになりました。また、ネットワーク化された

組織の登場によりまして、新しい形の協働が必要になって来ております。

さらに、グローバル化によりまして、文化的に多様な相手と仕事をする場合、

人を動かすための従来のアプローチ、つまり、力強く率直な物言いをするというやり方は、

必ずしも最善の策ではありません。

人を動かすための直接的な方法がうまくいかない時は、間接的な手法のほうが

良い成果をもたらすことがあります。研究結果では「間接的に人を動かそうとする企ては、

リーダーの側では意図したものですが、対象者には意図していないもののように映ります。」

と結論づけられております。従いまして、3つの方法を紹介致します。

1.「聞くことにもっと力を入れる」

相手にこちらの考え方を受け入れさせようとする際、私達は往々にして、

説明や説得に時間をかけ過ぎる傾向があります。

人は、相手が時間をかけて自分の話を聞いてくれて、自分の懸念を理解してくれたと感じたら、

相手の主張を受け入れることにさほど抵抗を示さないものです。人間の生存欲求に次ぐ最大の欲求は、

理解され、肯定され、認められることです。この欲求に基づきまして「共感しながら聞くというのは、

相手の世界に入り込むこととなります。あなたは相手の世界から外の世界を見るわけで、

相手と同じように世界をとらえ、相手の心情を理解し、相手の感じ方を理解するのです。

従いまして、聞くことに力を入れることを念頭に接することで効果が得られます。

2.「たとえ話を使う」

たとえ話をすることは人を間接的に動かすための強力な手段になります。

相手に特定の視点を与え、共通の意義や目的を生み出し、共同体意識を芽生えさせます。

また、たとえの形式をはっきり示さずにたとえる「隠喩」の手法も効果があります。

例と致しまして、アメリカ国内でシェア第一位を続けていた機械部品メーカーの

品質管理部門の社員間で所定のチェックリストを全て確認しなくてもうちの会社は

問題ないとの言動が目につくようになり危機感を募らせた幹部が国内で指折りの

ベテランパイロットに頼みこみ、自家用ジェットで品質管理部門の社員を遊覧飛行へ

招待しました際に、「今回は離陸前にいつものフライト・チェックリストを確認しないつもりだ」

と伝えて頂いた。

品質管理部門の社員全員の顔色が青ざめ「絶対にチェックリストを確認して下さい!」

と訴えました。翌日以降、社員たちはそのメッセージを肝に銘じて受け取られ、

チェックリスト確認の遵守率は向上しました。・・・このような「隠喩」も効果があります。

(3)小さなことでも、何かしてあげる

心理学者チャルディーニは、「好意の返報性」を説いております。

人は好意をもっている人からの要請を受けると、それに積極的に応えようとします。

人は信用もしくは信頼関係が出来ていない人の言うことは信じません。

また、人は「知らない人と取引しない」・「嫌いな人からは買わない」ものなのです。

つまり、人間というものは親しい人や良い関係にある人から何かを頼まれると

「イヤ」とは言えないというものなのです。この「好意の返報性」に基づきまして、

誰かに何かしてあげたら、あなたはその相手に対して途方もなく大きな支配力や

影響力を持つことになります。他の人が自分に与えてくれたものに対しまして、

お返しをする義務を特に私達日本人はたいへん強く感じております。

そして受けた親切より大きな親切を返す必要があると感じるものです。

「小さなことでも何かしてあげる」の思いを大切に生きることが肝要です。

◎相手や状況によりましては直接的な手法が必要ですが、それで望ましい反応を引き出せない場合は、

間接的な手法による「さりげなさ」や、「きめ細かさ」が必要になって参ります。

大切なことは、多様な手段を使えるようにしておくこと、そして最大の効果を得るには、

それをいつ使えば良いのかを心得ていることではないでしょうか。