『反省が人生を変える』

『反省が人生を変える』

◎誠意の伝わり方を左右する反省力!

不祥事を起こした企業のトップが謝罪したり、プライベートで迷惑をかけた人に許しを乞う。

そのような時に問われているのが「反省力」です。

もちろん、お辞儀の角度だとか、相手との視線の合わせ方だとか、

場合によっては「土下座」をするとか、そのようなコミュニケーション上の技術はありますが、

本人が心から反省していなければ、相手に誠意は伝わりません。

何よりも、反省することは、自分自身の行いを改善することにつながります。

迷惑をかけた相手には、誠心誠意謝るべきで同時に、それは、自分が考え方を改め、

行いを変える絶好のチャンスともなります。

マズイことになってしまったら、どうしてそこに到ったのかをたどり、

いわば自分の人生の「原点回帰」をするのが、一番「筋のいい」やり方となります。

ここで言う反省は、プロセスとして見れば、「現実」と「仮想」を比較することです。

実際には「A」という行動をとってしまったが、その気になれば、

あるいは気づいていれば「B」という行動もとることができた。

そのほうが、結果として良かったかもしれない。このように、「実際の行動」と、

「できたかもしれない行動」を比較することが、「反省」には欠かせません。

例えば、十分な品質管理をせずに、顧客に迷惑をかけてしまった。

さかのぼって検査態勢を充実させていれば、このような事態は招かなかったかもしれない。

そのように、過去に自分がとった「実際の行動」と、「できたかもしれない行動」を

比較することで、私たちは反省を深めることができるのです。

脳の部位で言えば、前頭葉の、眼の後ろ側あたりにある「眼窩前頭皮質」が、

このような「実際の行動」と「できたかもしれない行動」を比較し、

検討する部分だということがわかっています。「反省」は、いわば「心のタイムマシン」。

過去にさかのぼって、現実の自分と仮想の自分を比較するという、高度な脳の働きなのです。

一方、「反省」には、自分自身の価値観・世界観をふり返るという側面もあります。

なぜ、過去に「ある行動」をとってしまったのか。

そのような行動を選択させた、自分の価値観・世界観は何か。

ここに反省を加えることで、自分の脳の「オペレーティング・システム」を、

さらに良いものにすることができます。

例えば、仕事上の失敗があったとして、なぜそんな行動をとってしまったのか。

自分のどんな考え方・感じ方が、そのような行動の背景にあったのか。

この点をふり返ることで、自身の価値観・世界観の問題点を見い出し、

改善することができるのです。

過去に起こってしまったことは、もう変えることはできません。

ですから、「実際の行動」と「できたかもしれない行動」を比較したとしても、

結果が変わるわけでありません。しかし、自分の行動を生み出した価値観

・世界観をふり返ることで、将来、仮に同様のことがありました際に、

同じ失敗を繰り返さなくて済みます。反省するということは、

いわば、鏡を見て自分の「心の化粧」をするようなもの。よりしなやかで、

強靱なマインドになることができるのです。

謝罪は、相手のためにすること。一方、反省は、自分のためにすることです。

両者が相まって、本当に人生を変えることができるのです。

反省は、後ろ向きではありません。自分のためにこそ、大いに反省すべきです。

反省は、成長へのきっかけともなるのです。なぜ、人は失敗しないと成長できないのか。

どんなに経験を積んだところで、ビジネスにおいて全勝はあり得ません。

ビジネスとは、一定の割合で失敗するものでもあります。

結果的に失敗となったことを心の底からそれを失敗と思うか、

それとも、さらなる成功の原点になったと考えるか。いかがでしょう?

失敗を成功の原点と思える人は、失敗を糧にできる人です。

失敗は、自分が変わるためのチャンスです。

これまでのやり方では越えられない壁にぶちあたり、それを乗り越えた時、

人はとてつもない成長を遂げるのです。壁を乗り越えるまでのプロセスは

試行錯誤の繰り返し。つまりは失敗の積み重ねです。人が失敗からしか学べないというのは、

成功とは結果にすぎず、成功までのプロセスはすべて失敗の連続だからです。

もうひとつ、失敗から学ぶために身につけておきたいものがあります。

それは、現状分析の習慣です。原因を振り返ることで、失敗を教訓として生かすのです。

これは、結果が成功であったときでも同じです。

「うまくいった時には窓の外を見て、失敗した時には鏡を見る」という言葉があります。

この言葉が示すのは何か。それは、とてつもない成功を得る人とは、

結果に対する現状分析を欠かさない人であるということです。

現状分析の習慣を身に付けることで、失敗を教訓として生かすのです。