『日本古来のマナー』
◎マナーの由来・本来の意味を知る!・・・より深い人間らしさを得る。
「マナーは大切」・「マナーを守ろう」と言われることは多いのですが、
実際のところどのような意味があるのでしょうか。たとえば、「電車内では静かに」というマナーなら、
周囲に迷惑をかけないようにすることだとわかります。
しかし、「畳の縁を踏んではいけない」という和室のマナーはなぜなのでしょうか?
・・・理解している人は少ないのでは?
そこで、形式としては知っているけれど、その由来や本来の意味を知らない主なマナーにつきまして、
まとめました。
<日本ではなぜ箸を使って食事をするのか?>
箸だけを使用して食す日本には、箸に関する大変ユニークな精神文化が存在します。
農耕文化を築いていた日本人は、豊作を神に祈るために、魚や野菜をお供えして神事を執り行います。
このとき、神さまにお供えする神聖な食べ物を、直接手で触るのは神さまに失礼だ! という考えで、
箸が使用されたのです。
<正月に祝い箸を使うのはなぜ?>
正月などに両側の先が細くなっている祝い箸を使用するのは、日本には神さまと人が一緒に食事をする、
『神人共食文化』が存在するためです。
箸先の一方は人間が、もう一方は神さまが使用できる『神人共食箸』が用いられます。
日本人は序列を好みますから、箸にも格式を持たせたわけですね。
一番格式が高いのは祝い箸、次が割箸、三番目が家庭で使用される、いわゆる『マイ箸』です。
<割箸を上下に割る理由>
飲食店や訪問先で使用する機会が多い割箸。上下に割るのが正しいマナーだとされています。
これは、左右に広げて割ると、両隣の人の領域まで割り込むことになり、迷惑をかけてしまうためです。
<「畳の縁を踏むな!」の由来>
かつて畳の縁には、その家の家紋をあしらったり、豪華な模様をちりばめたりして縁を高くし
、主人の地位の高さを誇っていました。そのため、『畳の縁を踏む』という行為は、
その家の主人に対して失礼に当たるので、今でも『畳の縁を踏んではいけない』と言われています。
<「畳の縁を踏むな!」の真意>
また、『畳の縁を踏むな!』は、奉公人への思いやりの言葉でもあります。
主人に食事を運ぶとき、女中はお膳を顔の前に掲げて運ぶため、足元がよく見えません。
畳の縁は高くなっていてつまずきやすいので、『踏むとつまずくから注意して!』という意味も込められて
います。
<日本の飲食店でおしぼりが出されるようになったのはなぜ?>
おしぼりは日本伝統のおもてなしや癒しの文化。その歴史は実は意外に古く、
公家がお客さまを屋敷にお迎えする際、濡れた布を出したことに由来します。
江戸時代になると手ぬぐいが普及し、旅館などで足を洗うための水を張った桶と一緒に、
手ぬぐいが出されるようになります。これが、戦後になって飲食店などに受け継がれ、
現在のおしぼりの形式となりました。
<人を紹介する際の順番について>
たとえば、食事会などで誰かを誰かに紹介したいとき。どちらを先に紹介するべきか、
迷うことも多いでしょう。紹介するときは、外部優先、女性優先、年配者優先、上位者優先です。
訪問先で上司とクライアントがいる場合、クライアントが外部者で優先、
つまりクライアントが上司の情報を先に知る権利があるということになりますので、
まずクライアントに上司を紹介します。
<「つまらないものですが……」の本当の意味とは?>
人に物を贈るときによく使用する『つまらないもの』の意味を、少し誤解している人が多いようです。
本来は、『凡人の私にとっては大変高価で素晴らしい物ですが、
社会的な地位やお金があるあなたにとっては、さほど大した物ではない』という意味です。
自分をへりくだり、相手を立てるための言葉なのです。『持参した物がつまらない』と
謙遜しているわけではないのです。
<手土産を紙袋ごと渡さない理由>
手土産は紙袋から出して渡すのがマナーとされています。紙袋は中身を保護するためのもの。
そのため、贈り物の一部ではありません。もし紙袋のまま渡したい場合には、
『紙袋のまま失礼いたします』といった一言を添えましょう。
<年賀状の「賀詞」の選び方>
たとえば、一文字の『寿』・『賀』は単に『おめでたい』という意味。
二文字の『賀正』は『正月を祝う』の、三文字の『四海春』は『世界に春が来た』という意味だけで、
これらに敬意は含まれていません。そのため、目上の人には不向きです。
目上の人には相手を尊ぶ漢字の『謹』が入った『謹賀新年』や、うやうやしいという意味の
『恭』が入った『恭賀新年』などがおすすめです。また、『あけましておめでとうございます』と
いった文章は、相手を選ぶ必要がありません。
※マナーには必ず合理的な理由が存在します。しかし、現在は形のみが先行してしまい、
間違ったまま伝えられているケースが多々あります。マナーを覚えるときには、
ほんの少し時間をかけて、その由来や意味も一緒に勉強しておきたいものです。
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