[ 人を導くリーダー ]
◎複雑さをガイドして行くのがリーダー。
私たちの世界は少しもシンプルにはならない現実があります。
そして私達が活動するマーケットや環境は、私たちの祖先が出現した自然環境と同じくらい
複雑さを秘めています。
私達の仕事環境は、熱帯雨林などの自然体系と同じく、不安定さ・曖昧さ・多様性や
相互依存性を有しています。
そしてこれらは全て、複雑さを導く主要な要素でもあります。
このような条件下では、複雑さを「簡素化」することよりも、
複雑さをガイドしていく方がより効果的と考えます。
いかなる複雑なチャレンジや状況にも必ず、単純な部分・込み入った部分、
そして、とても複雑な部分が存在します。
リーダーは、いかにして複雑さをガイドしていくための能力を開発し、
身につけていくのかということが重要です。
<生まれながらにして持つ「意味づけ」の能力>
複雑さをガイドすることは、想像するよりも簡単です。
私達は元来、複雑さをコントロールして、その中で成功する能力を生まれつき有する複雑な生き物です。
従いまして、まず最初に取り掛かり、育てていく能力は、「意味づけ」となります。
「意味づけ」とは私たちが赤ちゃんや幼い子どもの頃に経験するものです。
私たちはあることを試し、体験し、結果を得て、その時を思い返したり、反応したりして育って来ました。
歩いたり、話せるようになったり、あるいは、ものが「熱い」とはどういうことかが分かるようになる
過程を思い出してみて下さい。
このサイクルを何度も繰り返すことで、私たちは新たな世界を発見します。
そうして成長の過程で、私たちは社会生活に適合してきたのです。
また、分析というものに過剰に頼りながら、予測し、計画し、実行し、
そしてその流れをモニターするという教育を受けてきました。
そして大人、特にリーダーになりますと、私たちはこの生まれながら携えている
「意味づけ」や発見する能力を活かすよりも、明確な戦略や動かない計画だけを通じて
仕事をするようになります。
こうした能力は、人を導いていくためには今日でも非常に価値があり重要ですが、
複雑さをガイドするには不十分で、時には非生産的となります。
<「意味づけ」とは地形(現地)を知ること>
複雑な状況では、リーダーは、繰り返し起きたり、新たに出現したり、集約されるようなプロセスを経ながら、
仮説や代わりの戦略を立て、それを現場でテストし、体験し、進路を修正し、
そして結果に到達することで、より多くのことを得ています。
「意味づけ」とは、実際の地形を知ることであり、他のかたが作成した地図、
あるいは徹底的な分析に基づいて作成された地図に頼るものではありません。
「意味づけ」とは地形、地勢そしてその中を突き進む手段に関して、
多様な意見に耳を傾け受け入れることです。
それは集約的、協働的かつ豊かにしていく行為です。
<相対するかたに景色を描かせる>
リーダーシップとコーチングは、それ自体が複雑な環境を携えていると言えます。
相対するかたと関わる中で、自然と状況を感じとる能力を開発しています。
その際には、相対するかたが完全で現実的な景色を描けますように、
オープンなマインドと姿勢を保つように注意します。
仮説は立てますが、その検証はできる限り簡単にし、相対するかたが自身の仮説を選択したり、
生み出したりできる余地を与えるようにします。
そうしますと、試しても役に立たない仮説はランクを落とし、
生産的な仮説は拡大したり強化したりするアプローチをとることができます。
<内省的なトレーニングが自己認識を高める>
複雑さの意味を理解するためには、リーダーは自身が意識レベルで成長し、
精神的・知覚的な能力を伸ばしたいと考えるようになります。
そのための最善の方法とは、リーダーとしての人生と仕事について熟考を重ねることです。
マインドフルネスを含む内省的なトレーニングをすることで、他のかたの意見に耳を傾けて、
考えを統合する能力が向上します。
また、そうしたトレーニングによりまして、自分自身や他のかたの先入観を理解することもできます。
その先入観は、重要な観点の探求、明確化や統合の妨げとなっているものですから、
先入観を理解することで新たな一手を投じることが可能となります。
これらの行動が、挑戦や機会といったことに対して、違った見方やアプローチをとることにつながります。
複雑さを「簡素化」することよりも、複雑さをガイドしていく。
その手法こそが、リーダーとして何より、人を導く効果的な手法となります。
その積み重ねが、リーダーとしてのより方がより高い能力とより容易な方法を身につけるカギとなります。
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