257[ ツーカーの仲になる ]◎「ツ―と言えばカー」は、日常会話・商談や打ち合わせ・会話をする際には大切な要件

[ ツーカーの仲になる ]◎「ツ―と言えばカー」は、日常会話・商談や打ち合わせ・会話をする際には

大切な要件・・・こちらの意思がすぐに相手に伝わる、気心が通じ合う関係を示す言葉。

この言葉は明治末期から大正にかけて「通過の仲」という漢語が流行した際、

物事が通過するように、こちらの意思が相手に伝わるというような意味で使われ始めたという説が

有力です。

いずれにしてもこちらの意思をすぐに相手が受けとめ、返答してくれる「通過の仲」になれたら

嬉しいものです。

 言葉のキャッチボールがスムーズにできれば、「誤解」や「勘違い」がなくなり

仕事のミスやトラブルも未然に防ぐことができます。

 では、具体的にどうしたら良いのでしょうか? 旧知の仲ならば言葉だけでなく表情や仕草、

経験則からも「相手の真意」を知ることができますが、初対面ではそういきません。

ポイントとしましては、

●相手が心を開き自分に好感を持っている。

●こちらの意思が的確に伝わる。

●相手の真意を引き出せる 。

 ということです。

「ツーカー」の仲になるには、会話の波長を合わせるのが特に重要になります。

<1.「マニュアル通りの対応は素っ気ない 」>

マニュアル通りの対応が義務づけられておりますファースト・フードショップやカフェで、

「ミルクコーヒーをください」と注文しますと、「カフェ・ラテですね」

・「カフェ・オレですね」などと対応する従業員が多いでしょう。

 瞬時に「ミルクコーヒー」が「カフェ・ラテ」や「カフェ・オレ」にすり替わります。

 なぜかと言えば、自社のメニューには「ミルクコーヒー」はなく、

同様のものは「カフェ・ラテ」や「カフェ・オレ」だからです。

マニュアル通りの対応をすれば、そう答えざるを得ないのです。

その言葉に違和感を覚えながらも「温かいカフェ・ラテをお願いします」と言いますと、

「ホットのカフェ・ラテですね」 と、「温かい」が「ホット」に変換されて返ってきます。

 すると一層、違和感を覚えるものです。

 また、レストランで「会計をお願いします」と伝えますと、「お勘定ですね」となります。

  たとえひと言であっても、「お会計をお願いします」には「お会計ですね」

と同じ言葉を返されたほうが、断然、気持ちがいい。

 そこに「波長の良さ」を感じるからです。

 ほんのひと言であっても、人は無意識のうちに「好感」と「嫌悪感」を嗅ぎ分け、

同じ波長の方を「いい人」と判断するのです。

 ですから、マニュアル通りの対応が義務付けられている場合でも、時には外して答えるのが

「最高の結果を出す人」の話し方と言えます。

<2.マニュアル外しの挨拶こそ最高のおもてなし>

老舗の和食店で、そのお店を何度も訪れている友人と食事をする機会を得ました。

 「一見さんはお断り」・「紹介者があっても断られる場合もある」

・「店主の機嫌を損ねると入店禁止になる」とか、まことしやかにささやかれていることもありまして、

やや緊張しながら足を踏み入れましたが「取り越し苦労」でした。

 ひと言で「心地良さ」・「安堵」に、変わりました。

 「お帰りなさい」と言われました。

 こういう挨拶をするお店もあるとは、聞いていましたが、『うちでは「お帰りなさい」や

「ようこそいらっしゃいました」・「いらっしゃいませ」とお客様に合わせて

挨拶させて頂いております。』 ということでした。

 では「どう伝えるかは、マニュアルがあるのですか?」とお聞き致しましたところ、

「一応はありますが、お客様の顔を見て、接客する者が判断しております。」 ということでした。

 店内では、「お帰りなさい」や「いらっしゃいませ」の声があったり、「いってらっしゃいませ」

・「ありがとうございました」も聞こえました。

 臨機応変にお客様に対応しているのです。

お店での「いらっしゃいませ」・「ありがとうございました」の対応に慣れている私には、

そのお店の挨拶はとても新鮮に映りました。

 「お帰りなさい」と声掛けをされたら「ただいま」と答えたくなりますし、

「いってらっしゃいませ」には「いってきます」と自然に声が出るものです。

マニュアル外しの挨拶だからこそ、初対面であっても一気に距離が縮まります。

お店に漂う心地良さ・温かな空気感は、この挨拶にあると感じました。

<3.会話の波長を合わせる簡単な法>

会話の波長を合わせるとは、相手に同調する気配りです。

しかし、いきなり実行しようとしましても慌てるばかりですから、日頃から相手の会話の中から

キーワードを見つけ、話を展開する癖をつけておきましょう。

 例えば、「今年の冬は寒いですね」と相手が言ったら、「そうですね」・「そうでしょうか?」

ではなく、「寒い」をキーワードにして「本当に寒いですね」

・「去年より寒く感じるのは、なぜでしょうか?」などと話します。

「寒さ」を感じていなくても、「え~? 温かいんじゃないですか?」と頭から否定するのではなく、

とりあえずは同調するのが良いでしょう。

また、言葉だけでなく会話のスピードやトーンを合わせるのも、コツです。

 ゆったりゆっくり話す人には、こちらもゆったりゆっくり。

 相手が大きな声で話せば、少し声を大きくします。

 早口の人には早口で対応します。

丁寧に話す人には丁寧にするし、カジュアルな話し方にはこちらも礼儀を欠かない程度に

カジュアルな話し方をします。

 ☆こうして波長を合わせていきますと、相手も気持ち良く話すことができ

「ツーカーの関係」になれるでしょう。

 その積み重ねで、自然と苦手な人もいなくなります。