262[『強み』に集中、そして成長! ]

[『強み』に集中、そして成長! ]いま「本物の資本主義」が日本社会を揺さぶっています。

 大きな仕組みには、もう頼ることはできない時代となっております。

 そのような時代背景の中、自分で考え、 

自分で決めるための「武器」とはいかなるものでしょうか?2011年3月11日、

 東日本大震災発生以降、これからの時代を生き抜くためには、

 自分で考えて自分で決断する必要があることが、誰の目にも明らかになりました。

 これまで多くの人が「きちんと仕事をしているだろう」と思っていた日本政府や

東京電力のような巨大企業も、国民の生命の危機に際し、

まったく頼りにならないとわかってしまいました。

 この衝撃は非常に大きかったと思います。

 どんな権威にも、もはや頼ることができない。

 そんな時代だからこそ、自分で考えて自分で決めることが、

 ますます重要となって来ています。

 現在の日本は、明治につくられた国家の仕組みが崩壊する過程にあります。

 より安く、より性能の良い製品を作れば経済成長できるという思想に基づき、

 欧米に対するキャッチアップの努力を100年以上続けてきました。

 教育システムでは、地方の優秀な学生を東京大学に吸い上げ、

有能な「国家の家来」となる人材を大量生産してきました。

 それは明治当時の新興国のアメリカやドイツに倣ったやり方でした。

 明治維新では、高杉晋作や坂本龍馬といった国を揺るがす革新的人物が相次いで現れましたが、

 そうした天才ではなく、秀才を養成するシステムですが「第二の高杉晋作」は、

 必要とされない時代となりました。

 現状、日本が得意としてきたモノづくりはアジアの新興国に市場を奪われ、

 少子高齢化が進み国内需要は減少、雇用は失われ、円高による輸出への大打撃と、

 明るい兆しが見えない状況となっています。

 この日本の苦境の背景にある原因の一つが、全産業のコモディティ化です。

コモディティとは本来「日用品」を指す言葉ですが、

経済学では産業の発展にともない、企業間で製品に有意な差がなくなり、

 どの会社のどの商品を買っても同じとなった状況をそう呼びます。

 日本企業の多くが価格競争で疲弊し、利益がどんどん減っているのもコモディティ化が

大きな要因です。

そして深刻なのは、商品だけでなく、働く人材にもコモディティ化の潮流が押し寄せていることです。

 グローバル化した企業では、仕事の規格化が進んでいます。

誰がやってもある程度の成果は出るようになっているのです。

 このため事業拡大にともなって必要となるのは、

 大量のコモディティ人材となります。

自動車メーカーが、コモディティ化された部品を採用することでコストダウンを図ってきたように、

 採用では、能力が同じであれば、求職者の中から最も安い給料で雇える人を採用します。

 近年の日本で賃金の下落が始まっている本質的な理由もここにあります。

 昨今では、英語力のほかにも「地頭力」を鍛えたり、

「ロジカルシンキング(論理的思考)」を身につけたりする勉強法が流行していますが、

 深刻なことは学習自体が目的化して来ていることにあります。

 相関関係と因果関係を取り違えてはいけません。

 「優秀な野球選手は足が速い」という相関は正しいでしょう。

 しかし「足が速ければ優秀な野球選手だ」という因果は断定できません。

 同様に、「高年収のビジネスマンは英語が堪能」とはいえますが、

 「英語が堪能ならば年収が高くなる」とは言い切れないでしょう。

 従いまして、人材発掘・育成の最も重要な考え方として、

 弱点の補強はやめて「強み」に集中投資することです。

 個人としても、自身の「強み」に集中して日々の業務に取り組むことです。

今後、プロフェッショナルとして生き残れる日本人のタイプを、

 4つに分類しました。

  一つ目が商品に付加価値をつけて、

 市場に合わせて売ることができるマーケター。

 次にまったく新しい商品や仕組みをつくり出すことができるイノベーター。

 三つ目が起業家として事業を起こし部下を束ねるリーダー。

 最後が投資家として市場に参加するインベスターです。

 ビジネスで成功している人は、いずれもこの4分類やその組み合わせに当てはまります。

 同僚営業マンの何倍もの売り上げを達成されておられますかたは、

 同じ商品でも売り方の仕組みを根本から変えて取り組まれてます。

それは、優れたマーケター的な働き方であるといえます。

 そのような方々に共通するのは、

 与えられた営業目標の何倍もの成績を達成しているところです。

 業界を問わずトップセールスの人々は平均的な営業マンに比べて、

 10%や20%の差ではなく、何倍という段違いの数字をあげています。

 それは彼らが普通の営業マンとはまったく違うやり方をしているからです。

  営業目標に対して普通の営業マンは、

 「どうやって達成しよう」と考えます。

 ところが、「目標の2倍・3倍の売り上げを達成するにはどうすればいいか」と発想します。

 それだけ高い目標には、他の人の真似や、これまでと同じやり方を続けるだけでは

絶対に到達できません。

 何かしらの根本的な革新が必要になります。

 そこで自分の商品のマーケットについて徹底的に研究して、

 他の誰もやっていないやり方で取り組みます。

 ですからダントツの数字が出せるのです。

 日々の仕事に悩むかたは、「楽勝で出来ることを徹底的にやる」ということが重要です。

 10種類の仕事があるとすれば、なかには一つや二つ、

 それほど労力をかけずともうまくできる仕事があるはずです。

 そこに時間を集中して投資するのです。

それは自分の「強み」になります。

 自分の持つ強みを活かして、何かに突出することが必要なのです。

 「一生懸命やっているのに成果が出ない」という人は、

 努力の方向自体が間違っている可能性があります。

 それに気づかず、「もっと効率的にやればうまく行くのではないか」と考えてしまいますと、

 悪循環に陥ります。

 資本主義の歴史を振り返りますと、10%や20%の改善の積み重ねではなく、

100%以上の非連続的な変化が起きることで、経済が拡大してきたことが良くわかります。

 たとえば自動車産業を生み出したアメリカのヘンリー・フォードは、

 馬車の代わりに「鉄製の速い馬」をつくろうとは考えず、

 自動車という新しい概念の乗り物を大量生産することで、

 社会に巨大なイノベーションを起こしました。

 <仕事への「本気度」を桁違いに上げる方法> 個人の働き方においても、

 このような非連続的な変化を起こせるかどうかが、鍵となります。

 それはどのような職場でも可能で、あらゆる業界に「普通のやり方」と、

 圧倒的に生産性を高める「普通でないやり方」があります。

 その方法を発見するために、最も良いやり方は、

 自分の働く業界に関して、誰よりも詳しくなることです。

 それも狭い業界の枠組みを超えて、俯瞰的に業界全体を捉えてみることです。

 そのうえで業界の中の非効率なところや、ユーザーに不便を強いているシステムをすことを考えます。

 これは誰にでも出来て、なおかつ勝てる公算が大きいチャレンジとなります。

 俯瞰的に捉えるということは、

「経営者だったらどう考えるか」という起業家・投資家としての精神を持つことです。

 ビジネスでは、自分の判断が正しければ得をする、

 間違っていれば損をするという立場に身を置くことが大切です。

 そうすることで自分の「本気度」が桁違いに上がります。

 日々の真剣さが、業績向上につながるわけです。

 それに対しサラリーマン意識で働いている人は「結果を出さなくても別に関係ない」の識があります。

 それは自分が一生懸命働かずとも、毎月決まった額の給料がもらえるからです。

 しかしそのままではコモディティ人材からは抜け出せませんし、

 自分の生殺与奪の権限を会社に預けるという大きなリスクを負うことにもなります。

 優良企業人材採用の面接で、「今まであなたがやってきた仕事の中で、

 最も会社を儲けさせた仕事は何ですか?」・「チームで取り組んだ仕事の場合、

 あなたがそこで果たした役割は何ですか?に、

 答えられない人は基本的に採用されません。

 今まで、きちんと結果を出してきた人は、この質問に即答できます。

 ・・・とにかく結果を出し、

 自分の会社を成功させることにフォーカスしてみるということです。

 言われたことを単純にやるのではなくて、

本質的に自社を成功させるためにはどうすれば良いか、真剣に考えて行動することです。

 その結果が、自分の成長と報酬に直結します。