[ 「意志力」をきたえる ]
◎あなたも誘惑に負けない人になれる。
・・・意志の強さを後天的に鍛える6つの方法!
少し想像してみてください。
あなたはデスクに座ってパソコンを開き、ブラウジング(ネットサーフィン)中です。
他にしなければならないことがあるのですが、
あと5分インターネットを見ていても大丈夫だと自分に言い聞かせています。
そして、ベッドに入る時間が来た時に、今日は結局、何も達成できていないことに気づきます。
そんな日が決して少なくはありません。
≪誘惑に負けない人たち≫
なかにはこうした問題を持たない人もいます。
目標を決め、そこへ向かって邁進し、疲れ知らずに忙しく働き、様々な誘惑に負けない人たちです。
そのような生産的な人たちは何がどう違うのでしょうか? 数多くの研究が行われた結果、
答えはいたってシンプルであることがわかりました。
・・・生産的な人たちは、本質的に優れているというわけではありません。
「意志力」とは、平たく言えば、脳の実行機能(未来を考えたり、計画を立てたり、
明確な目標を設定する)に関する能力であり、その瞬間の快適さだけを求める
動物的な後脳を制御する力のことです。
動物的な後脳は、噂話や食べ物やペットの写真が大好きです。
動物的な後脳は、今日先延ばししたせいで、後に苦しむことになる未来のことなどおかまいなしです。
両者の間にはバランスがあり、そのバランスを「意志力」が決定します。
「意志力」はいくつかのシンプルかつ直接的な方法で、鍛えられることがわかっています。
以下に6つの方法を記します。
<1. スキルとして扱う>
「意志力」のことを、人格的な特質のひとつで、変えられないものだと考えているかたが大多数です。
私たちは、何かを成し遂げようとするとき、自分は優れた人間だから、「意志力」を発揮できるはずだと考えます。
そして、達成できないと、自分はダメな人間なのだと落胆します。
しかし、そうではありません。
「意志力」は、訓練できる(するべき)1つのスキルなのです。
たとえば、音楽のスキルにそうした考え方を適用したらどうなるでしょうか。
もし、あなたが、自分の音楽的能力を、人格的な特質の1つだと考えていたとしたら。
言われたとおりにバッハを演奏できなかったのは、
自分がダメな人間である証拠だと落胆するところを想像してみてください。
そして、人格の高め方を教えるとうたう音楽マスターから教えを請おうと、
人びとが行列を作っているところをイメージしてみましょう。
もちろん本当の問題は、あなたがダメ人間であるということではありません。
問題は、あなたが人生で一度も音楽のレッスンを受けたことがないというところにあります。
「意志力」も同じです。
現実的には、欲求の充足を先送りするスキルは、小学校で教えるべきものですが、
もしあなたにそれが備わっているとしたら、自分自身で学び取ったということでしょう。
では、この、無視されてきた精神の筋肉を鍛えるにはどうすれば良いのでしょうか?
「意志力」はどうすれば訓練できるでしょうか?
<2. 達成可能な目標を設定する>
何らかのスキルを身につけようとするとき、あなたはどこから始めますか?
スタート地点周辺にいるとしたら。
一番簡単なレッスンから始めますね。
一番軽い重量から始めます。
ですので、最初のゴールは達成可能な重量に設定してください。
「今日中に、小説を5千ワード書こう」などと言わないこと。
過去にやり遂げたことのないゴールをいきなり設定しても、失敗して、士気がくじかれるだけです。
そうではなく、「今日中に、小説を1ページ書こう」とか、
「今日中に小説を2段落だけ書こう」と考えます。
取り掛かるのが億劫でなくなるまで、目標の難易度を下げてください。
そして、何週間か、目標を達成し続けることができたら、難易度を少し高めに設定します。
目標を1日2ページにして、どうなるか様子をみてください。
こうした訓練を続けていけば、より楽に「意志力」を使えるようになっていきます。
具体的に言えば、毎日、夜寝る前に達成度リストにチェックをつけることを習慣としてください。
進捗管理に役立つアプリもたくさんあります。
<3. 一度に一つのことに集中する>
ときどき、やるべきことが山積みになることがあります。
それだけでも、心がくじけそうになるでしょう。
急いでやらなければならないタスクが十何個もあって、どれか1つに取り組むと、
ほかのタスクを放置せざるをえなくなる状況では、
ペットの写真に逃避したくなるのも無理からぬことです。
こうした事態を避けるために、達成度リストを作ったら、
全体を見渡して、無視しても大惨事にはならないというタスクをすべて取り除いてください。
そして、残ったタスクに優先順位をつけてください。
優先順位が決まったら、タスクごとに実行可能なステップを定義していきます。
そこまでできたら、あとは次のステップ以外のことは頭から追い出しましょう。
今日は今日のステップだけに完全に集中してください。
全体像ばかりに気を取られて、手が止まってしまうことのないようにしましょう。
<4. 重要でないことで「意志力」を浪費しない>
「意志力」は筋肉の力とおなじで、無尽蔵のリソースではありません。
筋肉と同じく「意志力」も疲労します。
「意志力」を使えば使うほど、その日に使える「意志力」の量は減っていきます。
これは、実験心理学で何度も実証されている事実です。
つまり、本当に重要なタスクにおいて生産的になるには、
それほど重要ではないタスクで「意志力」を浪費しないようにするべきなのです。
あなたが毎朝、ベッドから出るのに苦労しているとしたら、
それは、達成度リストに取り掛かる前に、大量の「意志力」を浪費しているということになります。
スタミナを温存するために、何ができるかを考えてください。
早く寝て、ストレスや不安の原因を取り除くことです。
何よりも健康を心がけてください。
毎日軽い有酸素運動を行ってください(気分を高める効果)。
運動する時間がないなどとは言わないこと。
数分でできるワークアウトや、デスクでできるエクササイズもあります。
重要でないのに負荷が高いタスクを排除して、
脳の実行機能に余計な負担をかけないようにしてください。
結果、幸福度も高まります。
とくに、睡眠は大きな影響をもたらしますので、睡眠の質を高める工夫をしてください。
簡単にできることもたくさんあります。
ホワイトノイズアプリを使って周囲の雑音を遮断したり、
点滅する目障りなLEDにカバーをかけてください。
また、朝できるだけスッキリと目覚められるように工夫をこらしてください。
たとえば、目覚ましアプリを入手したり、目覚ましを自作しても良いでしょう。
<5. 困難なタスクを先にやる>
次に、気分が良く、精神的なスタミナが残っているうちに、面倒なタスクをこなすように計画してください。
つまり、困難なタスクは一日の早い時間に片付けるということです。
起床して、コーヒーを飲んだら、エクササイズをして頭をスッキリさせ、
デスクに座って、達成度リストのなかで最も困難なタスクを片付けてください。
それは、あなたが思っているより簡単なはずです。
午後2時までに一日のすべての仕事を終えられると、信じられないほどすばらしい気分になるはずです。
残りの時間で、何か楽しいことをしたり、二次的なタスクに集中することができます。
スタミナがフルに残っている朝のうちに仕事に取り掛かれば、
夜になって燃え尽きた体と疲れた脳で無理やり取り組もうとするよりも、
ずっと早く片付きますし、クオリティの高い仕事ができます。
<6. 努力を惜しまない>
「意志力」は魔法ではありません。
機械的で神経学的な機能であり、シンプルかつ効果的な方法で取り組めば、
十分に高められる能力です。
とはいえ、今持っている「意志力」を使って訓練に取り組まなければならないし、
いくらかの痛みや不快感にも耐えなければなりません。
もちろん、つらいときもあるでしょう。
毎日、少しだけ頑張って自分を奮い立たせる必要があります。
コンフォートゾーンから一歩も出ずに、進歩を期待するのは無理というものです。
とはいえ、コンフォートゾーンのはるか遠くまで出かけていって、
しゃかりきになれと言っているわけではありません。
小さな変化をいくつか起こすだけで、目に見える効果が現れるはずです。
数カ月間、努力を重ねたあと、もう自分がペットの写真に頼っていないことに気がつくでしょう。
こうした小さな変化が、何十年と積み重なるうちに、
生き方がすっかり変わっている自分を発見することになります。
死の床で人生を振り返ったときに、時間を無駄にし、
チャンスを逃し続けた生涯だったと思いたい人などいるはずはありません。
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