302[ 真のリーダーになれる! ]◎恐れと遠慮を捨てたとき、人は真のリーダーになれる!

[ 真のリーダーになれる! ]

◎恐れと遠慮を捨てたとき、人は真のリーダーになれる!

<個人のやる気より雰囲気づくり>

一人ひとりのメンバーが意欲をもって仕事に取り組まなければ、

職場やチームの生産性は上がりません。

始業時刻のギリギリになって出社し、眠気の覚めやらぬまま昼を迎え、

午後になってようやくエンジンがかかってくる。

こんな社員ばかりでは、競争に勝ち抜いていけるわけがないのです。

では、どうやって個々の部下のやる気を高めていけば良いのでしょうか。

これに関しては、リーダーのできることは、ありません。

「馬を水辺に連れていくことはできますが、水を飲ませることはできないのです。」

という故事の通りにて、やる気の低い部下の耳元で、

いくらリーダーが「もつと全力で仕事に取り組め、手を抜くな」と声を張り上げたところで、

馬の耳に念仏です。

しかしながら、リーダーが代わったら、

俄然メンバーの眼の色が違ってきて、みんなやる気を出し始めた

というようなこともよくある話です。

それは、そのリーダーの雰囲気づくりが上手いのです。

メンバーのやる気というのは、もちろん本人の資質や性格もありますが、

それよりも職場やチームの雰囲気に左右されるところが大きいのです。

弛緩した空気に包まれた職場にいたら、自分への厳しさなどあっという間になくなって

「そんなに頑張らなくてもいいんだ、自分も適当にやろう」という気持ちに

自然となっていくものです。

人間とはそのように、元来弱いものです。

逆に、気力をみなぎらせ、朝からハイテンションで仕事をするのが当たり前

という感じの職場では、リーダーに尻を叩かれなくても、みなそうなっていきます。

自分だけのんびりしていると、かえって居心地が悪いからです。

職場のやる気モードを高めるには、まずリーダー自身が自分に厳しく、

高いレベルで仕事をしている姿を、部下に見せることが肝要です。

また、苦しくても辛そうな顔をせず、リーダーがその苦しさを楽しんでいる

というのを伝えることも大切です。

実際、高いハードルを越えたときほど、

より大きな喜びと満足感を手に入れることができますから、それを思えば苦しいことは

むしろ歓迎すべきことという捉え方ができます。

苦しさから逃げて楽をすることを優先する人は、

ハードルを越える喜びと満足感を知らないだけなので、上司がそれを教えてあげるのです。

上司を筆頭に、全員が高い目標に向かって努力し、達成した喜びを分かち合う。

そんな雰囲気をチーム全体に作れたら最高です。

異動後に久々に会った仲間達から、口をそろえて

「あのときは、いちばん仕事がきつかったけど、いちばん楽しかった」といって頂ける

・・・いちばん厳しくていちばん楽しい。

リーダーとしては何より嬉しい言葉です。

<部下からの反発も総攻撃も当たり前>

部下がいうことをきいてくれない。

部下から反発されたらどうしよう。

そんな邪念はさっさと振り払ってしまうべきです。

リーダーを優しく迎えてくれる部下など、この世にいるはずがないのです。

特に新任のリーダーの場合、本当にこの人についていって大丈夫かと、

部下も疑心暗鬼になっています。

まだ結果も出てないのに、それまでと違ったことを強制させられたら、

反発するのは当たり前です。

着任してすぐ強制的に、やっていた仕事のやり方をそのまま根付かせようとしますと、

部下からいきなり総攻撃を受けます。

それまで厳しい、圧倒的なスピードを要求していくやり方を行っていなかった部下達から

「時間がとれませんから3日後なんて無理です」

・「1週間は必要」

・「いや1カ月」と期限をできるだけ引き延ばそうと総攻撃です。

さらに、会議で部下がまとめてきた対策の甘いところを追及した瞬間に、

怒って会議室から退出ということに至ります。

それでも、デッドラインを浸透させないと低迷していた業績を回復させることはできない

という信念があれば、どんなに反発されようと毎日会議をやり、

デッドラインを付けて働くというスタイルをしつこくたたき込むのです。

部下たちは徐々にそのやり方で、確かに仕事ができるようになり、

結果が出てくるということがわかってくるようになりますと、

ようやく仕事の進め方、ひいては受け入れてくれるようになります。

リーダーが部下を抵抗勢力と呼び、対峠していては何も進みません。

このように、やり遂げる、結果を出すという役割を果たすために、

リーダーは腹をくくり、あくまでもブレずに、懸命に事に臨まなければならないのです。

世にリーダーシップの本はたくさん出ていますが、とくに競争の厳しいこれからの時代、

この部分を端折ってあるものは使えないと思って良いのです。

<成功するまでやれば成功する>

これまでリーダーシップ研修を受け、リーダーの心得について書かれた本を

何冊も読んだはずなのに、いざ部下をもってみると、コミュニケーションはうまくいかず

信頼も得られず、結果も出せずに自分はリーダーに向いていないのだと思っている人は、

まずその考え方を改めなければなりません。

ここまで読んで頂いたかたにはおわかりのとおり、リーダーというものはそもそも、

研修を受けたり本を読んだりしたくらいでなれるような、簡単なものではないのです。

理想のリーダーとなるためには、うまくいかなくても強い意志をもって、

何度も何度も挑戦するのです。

試行錯誤を繰り返さないで成長することはできません。

その過程で、私利私欲を捨てることや、高い倫理観をもつこと、

部分最適ではなく全体最適を当たり前として考えられるようになることなども、

併せて自分に厳しく課していくのです。

部下から信頼されないとか、部下がついてこないとか嘆いている暇があったら、

ひたすら自分を磨くのです。

「やがて自分がリーダーとして成長すれば、必ず部下もついてきてくれるものだし、

信頼も勝ち取ることができる。

そうならないうちは、まだまだ自分の努力と試行錯誤が十分でない!」と

思わなければならないのです。

部下の愚痴をいう前に自分を省みるということです。

そして、自分に対するのと同様に部下にも厳しく接すること。

そうしないと部下は育ちません。

自分が成長するだけでなく、具体的に部下を成長させることを忘れてはならないのです。

「だから任せるところは任せる。」を肝に銘じたいものです。

「少なくとも、部下には最低、自分のレベルにまでは成長してもらわないといけない。

ただし、いつまでも部下に対して報連相をやっていると、

せいぜい自分のレベルで成長が止まる。

でも任せると、それ以上に成長してくれる可能性があることを覚えておかないといけない。」

を日々自身に言い聞かせます。

なお厳しさには、「いいあんばいが必要」です。

部下の基準も自分と同じでは、クリアできない人が続出し、

部下に仕事が任せられなくなってしまいますので、

そのあたりは現在の部下の実力をみて、

頑張ればここまではやれるというところに基準を定めてあげるのです。

辛抱と忍耐。

これもリーダーにとっては不可欠な要素です。

豊かな森を育てるには、「競争、共生、我慢」というルールを忘れてはならないといいますが、

これは会社でも一緒です。

部下は、競争を通してこそ力をつけ生存能力を高めていきます。

しかし、強いものだけが残ればいいというのでは組織は成り立たちません。

それぞれの能力や適材適所を見極め、どこをどのように伸ばせば組織として

最大の力が出せるようになるかを、リーダーは良く考えなければならないのです。

そして最後に、なんといっても根気が必要です。

こうやると決めたら腹を据え、結果が出るまで我慢してそれを続ける。

石にかじりついてもやるのです。

「成功するまでやれば、必ず成功する!」最後にこの言葉をすべてのリーダーに贈ります。