[ やりずらさ克服 ]
◎なぜあの人とは話が合わないのか。
職場の「やりづらい人」攻略法のご紹介です。
仕事上のコミュニケーションと職場での関係性の作り方について、
人にはそれぞれのタイプがあり、それぞれ相性があります。
<合わない人ばかりで、つらい職場>
職場でこんなつぶやきを聞いたことはありませんか?
発言1:「〇〇教授の唱えた〇〇理論も知らないのに、改善策を考えました…だと。
アホも休み休み言え」
・発言2:「うちの会社はドメスティック(家庭的)な奴ばかりで世界の潮流からは周回遅れだ。
世間知らずのバカと話をするだけ時間の無駄というものだ」
・発言3:「この技術が実現してしまうと、業界が間違いなく大転換の時代に入って、
我々の存在価値がなくなります!」、「何を大げさなことを言っているんだ。
お前は歴史家か?」・発言4:「君の感想を聞いているんじゃない。
エビデンス(根拠)はどこにある?データの信頼性は?
そのロジック(論理)はきわめて脆弱だ」
・発言5:「(私の)プランは完璧でしたが、会社の意思決定が遅れたせいで他社に先を超されてしまいました。」、
「あなたはいつも成功したら自分のプランのおかげ、失敗したら実行力のせいですもんね」
・発言6:「下手の考え休みに似たり。
あるべき論など考えている暇があるなら、まず手を動かせ!」
・・・そして、こういった発言をする人にうんざりしたり、
一緒に仕事がやりづらいと思ったことはないでしょうか。
「合わない人」という感情は「嫌い」とは少し違います。
仕事の進め方について基本的なところで考えが噛み合わず、
実際になかなか仕事が前に進まなかったのが、その例です。
あるかたは、ちまたの「職場の人間関係の改善」を謳う書籍も片っ端から読んでみた。
そこに書かれている「相手を尊重する」、「話を傾聴する」、「目を見てうなづく」などの
技法は、もちろん役に立つし、人間関係の第一歩を築くには大切なことだと思ったものの、
何かが違う。
利害関係の交錯する真剣勝負の仕事の場においては、
これらの本に書かれたスキルは本質的な解決にはつながらない。
とおっしゃります。
相手のかたと本当に協業するためには、もっと知的に相手のかたの寄って立つ基盤や前提を
把握して、それを踏まえたうえで建設的に対応しなければならないのです。
仕事の場面において、あるタイプの人とはどうして分かり合えないのか、
その人たちとどうすれば上手く仕事を進めていけるのかを考えた時に、
その答えとして『観察と分析に努める』という結論に達しました。
最終的に、人にはそれぞれ「何を見るか(視点)」、「どう考えるか(思考)」、
「どう動くか(行動)」において、それぞれ明確な特徴があり、
その方法が自分と違う場合に、違和感を抱くということが分かってきました。
もちろん人には個性があり、十人十色ですが、この3つの軸で見るときに、
その人の仕事における特徴がもっとも顕著に現れるのです。
≪やりづらさの理由は 視点、思考、行動の3つの違い≫
「何を見るか(視点)」、「どう考えるか(思考)」、「どう動くか(行動)」とは、
具体的には次のような違いです。
<視点:ミクロ重視タイプか、マクロ重視タイプか>
まずは、ミクロな視点を重視するか
(冒頭1の人、以下数字)、マクロな視点を重視するか(2)、という違いです。
●ミクロ重視=身の回りの小さな世界における、人・関係・プロセスなどに興味を持つ。
発言1:「〇〇教授の唱えた〇〇理論も知らないのに、改善策を考えました…だと。
アホも休み休み言え」
●マクロ重視=大きな世界における、仕組み・機能・バランスなどに興味を持つ。
発言2:「うちの会社はドメスティックな奴ばかりで世界の潮流からは周回遅れだ。
世間知らずのバカと話をするだけ時間の無駄というものだ」
(1)の長所は、自分の守備範囲(専門領域など)内の事柄に、責任とプライドをもって取り組み、
細かいことも観察して見落とさず、きっちりこなしてくれる点にあります。
(2)の長所は世界の構造、機能、トレンドなどにつねに興味をもっており、
自分や自社の存在意義や生存の道を大きな視点からで問いなおせることです。
もちろん短所もあります。
よくあるミクロの人からマクロの人に対する批判は
「雲をつかむような不確かで大きな話ばかり言う、地に足がつかない人」というもので、
マクロ重視の人から見たミクロの人は「自分の専門や、通例に固執し、
どうでもよい小さな問題や対症療法に拘泥する志の低い人」というものです。
ここで、双方の視点の人たちが対立するのではなく歩み寄るために必要なことは「視点の切り替え」です。
これはほかの2つの軸においても共通点となります。
片方の極から片方の極への視点の切り替え、行き来が自由にできるようになりますと、
「合わない人」の良さを引き出すこともできますし、自分の力をもっとチームのために
役立てられるはずです。
では、ミクロ重視タイプにマクロへの視点の切り替えを促すにはどうしたら良いのでしょうか。
次のように言ってみるのです。
「〇〇さんの小さな変化を見逃さない観察力はさすがです。
同じような方法で業界全体の構図や未来を考えてみるとどんな感じになりそうですか」と。
逆にマクロからミクロへの視点の切り替えを誘導するには、
「あなたの広い視野からの知見を、今、起きているこの事態の改善に活かすとすれば、
具体的にどのような方向性が考えられるでしょうか」といったものなります。
相手を窮地に陥れるためではなく、相手の知見を目の前の問題の解決につなげようと
真摯な姿勢で問いかけてみますと、意外にも素直に胸襟を開き、役に立つ知見を披露して頂けます。
文句を言う「やりづらい人」ほど、単に愛想の良い人よりも、
ずっとに真剣に物事を捉えているからなのです。
<思考:直観意味タイプか、事実論理タイプか>
2つ目の軸、「どう考えるか(思考)」には、直感から事象の意味を見出そうとするか
(3)、事実やデータから論理的な考察をしようとするか
(4)の違いがあります。
●直観意味=物事を自分なりの世界観で認識して解釈する。
そして、物事に独自に意味づけをしたり、理由を見つけようとする。
発言3:「この技術が実現してしまうと、業界が間違いなく大転換の時代に入って、
我々の存在価値がなくなります!」
●事実論理=事実と論理を重視し、理論的・定量的・統計的な視点から、
物事の科学的な法則性を見つけようとする。
発言4:「君の感想を聞いているんじゃない。
エビデンスはどこにある?データの信頼性は?そのロジックはきわめて脆弱だ」
(3)のよさは、自らの経験をもとにユニークな視点で新しい兆候を洞察し、
隠れたニーズや新商品の種を発見できる点にあります。
(4)のよさは、科学的に証明された理論やデータに基づく仮説で物事を
進めていくことができる点にあります。
(3)は、(4)の話すことを「中身がデータ、数字、情報、理論でしかなく、
それでは人の心を動かせない(自分も動かされない)」と思うことが多く、
(4)は(3)を「自分勝手な妄想癖を語る人」とバカにし、
そのアイデアも事実の裏付けのない荒唐無稽なものと一蹴します。
しかしながら、この両者は完全なる補完関係にあります。
(3)が「自分の直感による仮説をデータによって裏付けてほしい」と
(4)に助けを求め、(4)も「データの解釈を(3)の洞察力で支援してほしい」と願う
関係が生まれれば、最高のパートナーとなります。
またミクロ、マクロと同じように視点切り替えの誘導を考えますと、
(3)から(4)へ切り替えて頂くために、「あなたのユニークで洞察力ある見解は見事です。
データはまだ十分にはありませんが、まずはできる範囲で検証し、
だんだん精度を上げていきませんか」などと持ちかけることが可能です。
(4)から(3)への切り替えを促すには、「科学的に確かだと言える範囲はそこまでなのですね。
では、ここからは、将来検証を行うことを前提とした仮説をつくるため、
起こりうる事態を自由に想像してみませんか」と言って協働を提案するのが手です。
<行動:WHAT重視か、HOW重視か>
最後の「どう動くか(行動)」の軸は、何をすべきか=WHATを重視するか
(5)、どうやればいいのか=HOWを重視するか(6)です。
●WHAT重視=「どうあるべきか、何を成すべきか、それはなぜかを明確にする」ことに
重点的に取り組む。
発言5:「(私の)プランは完璧でしたが、会社の意思決定が遅れたせいで他社に先を超され
てしまいました」
●HOW重視=「どのように具体化するか、実際にどう現実化するか」に重点的に取り組む。
発言6:「下手の考え休みに似たり。
あるべき論など考えている暇があるなら、まず手を動かせ!」
(5)のよさは、本来「どうあるべきか」を考え抜き、「何をすることが必要か」を決められることであり、
(6)のよさは、目標さえ与えられれば、それを「確実に遂行するための手立てを構築」
することができる点にあります。
これが裏目に出れば、(5)にとって(6)は、「しっかり考えもせず、
すぐに手法論に走る人」と非難の対象になり、
(6)にとって(5)は「口ばかりで理想論だけを語る働かない人」になります。
この軸においても、(5)から(6)へ視点を切り替えて頂くためには、
「どうあるべきかは分かりました。
それでは、現実とのギャップを埋めるために、最初にどこから始めていけば良いのでしょうか」と
具体的な一歩まで踏み込んで頂けるような働きかけを行います。
(6)から(5)に切り替えて頂くには、「もしいま考えておられるような制約条件がない
とすれば、何をやるのが理想的でしょう」と、ひとつ抽象的なレベルの議論に引き込むという
働きかけが有効です。
以上、3つの軸とその両極、すなわち6つの傾向を解説致しました。
これらは、良し悪しや優劣を言うものでは決してありません。
単にタイプの話です。
極論しますと、全部のタイプの傾向を理解して、
その場において適切なタイプを演じることができるのが最高です!
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