[ 泣いて元気 ]
◎「泣いて元気」になる脳のメカニズム
「泣いたら負け」・「涙を流すのはみっともない」。
そう信じ、どんなにつらく苦しくても人前で表情を変えずに耐え忍んできたかたも
多いのではないでしょうか。
時には声を上げて泣いてみては?涙はストレスを解消するだけでなく心と体を元気にしてくれます。
笑いは健康に良いといわれていますが、泣くことはそれ以上の効果があるとの報告があります。
その根拠のひとつとされているのが次の研究です。
「泣くビデオ」と「笑いのビデオ」を各30分見せて、前頭前野の血流変動を調べたところ、
笑いは、泣きに比べて血流変動の程度が弱く短時間でした。
その後の心理テストから「号泣」は脳全体をリセットし、
スッキリさせる効果がありましたが、笑いはそこまでの効果は得られませんでした。
「つらい、悲しいなど感情が揺れますと、その刺激が脳の奥にあります視床下部に伝えられます。
そこは自律神経の司令塔で、緊張や興奮を促す交感神経とリラックスや
安心を促す副交感神経のバランスを取り内分泌機能も調整します。
視床下部が刺激されますと副交感神経が優位になり、その働きで涙腺が刺激され涙が出るのです。
つまり、泣くという行為は交感神経が優位の緊張した状態から、
副交感神経が優位のリラックスした状態に一気に変わるということなのです。
<情動の涙を流す>
逆にいいますと、泣きたいときに我慢することは緊張状態を長引かせ、
ストレスをため込むことであり、泣くことはストレス状態が解消され、
リラックス状態になるということなのです。
泣いた後には、脳内ホルモンのひとつで、モルヒネと同様の働きをするとされる
エンドルフィンが増加するといわれています。
エンドルフィンには強い鎮静効果があるため、ストレスを解消してスッキリ感をもたらしてくれます。
ただし、涙には目を潤す「基礎分泌による涙」のほか、ゴミが目に入ったときに出る
「反射の涙」と脳がストレスを感じたときに流す「情動の涙」があります。
ストレスを解消するには「情動の涙」が必要です。
それは、同じ涙でも成分が微妙に違うからです。
実際に、タマネギを切った時に出た涙と映画で感動したときに出た涙を比べたところ、
後者には副腎皮質ホルモン(ACTH)が検出されたといいます。
ACTHはストレス反応として分泌されるホルモンですので、情動の涙は
ストレスを体外に排出する働きがあるといいます。
泣くことは免疫力のアップにつながるとの見方もあるのです。
「免疫とは、細菌やウイルスなど体にとっての異物を排除しようとするシステムのこと。
笑いと同様、泣くことで白血球中のマクロファージ(貪食細胞)と、
ウイルスなどが感染した細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞が活性化する。」
という医療関係者もおられます。
泣くだけで病気になりにくい体になるなど、にわかには信じがたいものですが、
少なくとも泣いて気持ちがスッキリすることだけは確かです。
今は心の底から笑うことができないというかたは無理に、はしゃがず、長期休みの間に
「泣ける映画」・「泣ける本」などに浸って思い切り泣くのも手です。
そうすれば「また頑張ろう」という新たな気持ちが湧いてきて元気になります。
コメントを残す