337[ 集中力の解説 ] ◎集中力が高まらない時はどうしたら良いの?

[ 集中力の解説 ]
◎集中力が高まらない時はどうしたら良いの?

仕事や勉強の能率を決めるのは集中力ですが、大事な時に限って、 集中力が不足してしまう事があります。

こうした時の原因はわかっ ていますか? ・・・「物事に集中できない」は、精神科でよくある 訴えの一つですが、

大事なときに集中できない事はありがちです。

例えば、相手と話している最中に、気にかかる事があって、

上の空 になってしまったといった失敗談は少なからずあるのではないでし ょうか。

集中力は仕事や学業の成果を決める重要な要素であり、集 中力のあるなしが人生を決めてしまうかもしれません。

もっとも、 集中できないと聞くと、「気合が足りない!」と活を入れてあげたく なる人もいるかもしれません。

ですが時には、活を入れる事が逆効 果になることもあります。

集中力低下への対策として、集中力を妨 げやすい要因や心の病気との関連性などをお伝えします。

<集中力のチェック法>:簡単にできる集中力のチェック法とし て、100 から連続して 7 を引いていくテストがあります。

93、86、79 と順に声に出していきます。

だんだん小さい数になりますが、最後 の 2 までたどり着くのはなかなか難しいのではないでしょうか?

こ のテストは計算力をチェックするのではなく、あくまで注意力や集 中力をチェックします。

計算に拒否反応が起きてしまうかたには適 していないのですが、

要は、7 を引くという単調な作業を繰り返し行 う過程で、集中力に問題がないかを見ます。

計算が大嫌いな人は、 自分の名前を逆に言う、ちょっと複雑にして、

ローマ字で自分の名 を逆に読んでみるといった事でも集中力をチェックできます。

途中 で途切れてしまう原因は、次の要因が挙げられます。

1単調過ぎて、 注意が続かない。

2携帯が鳴って、注意が脇へそれてしまった。

3 明日の仕事が気にかかっていて、やってみる気になれない。

4気分 が冴えず、数回計算してみて、やってられなくなった。

5いらいら していて、100 から 7 を引いてみたら、もっとイライラしてしまった。

これらを見ても、一口に集中力と言っても、「目先の作業に意識を向 ける」

・「集中力を一定時間保つ」・「周囲の雑音や雑念に注意をそら さない」など、

集中力を決める要素は幾つかあり、これらの要素が 妨げられて、

7 を引き続ける作業が途中でストップしてしまったと言 えますが、本当に集中できるようになりますと、

携帯で会話をしな がら、頭の中で 100 から 7 を引き続けるといった事も可能かもしれ ません。

もっとも、テストをパスされた方には、こんな何の役に立 たないことはできませんという人もいらっしゃるでしょう。

人間は 行動する際にモチベーションが必要です。

もし、「最後まで計算でき たら、何でもごちそうします!」となりますと、モチベーションは 上がるでしょうか?

反対に、テストをパスしたら「メシ抜き!」と なったら、どうでしょう?

いわゆる、アメとムチですが、アメの方 が良いでしょうか?

<集中力が落ちた時、原因ははっきりしていますか?>:集 中力が落ちても、

その原因がはっきりしていれば対策は取りやすい です。

「疲れている」・「眠気が強い」・「お腹が減った」時などに集中 力が低下するのは当然ですが、

注意が必要な集中力低下の原因にス トレスがあります。

仕事中、心が弛緩した様子でいたら、「たるんで いる!」と怒られるでしょうが、

物事に集中するためには適度の心 の緊張が不可欠です。

しかし、慢性的に心が緊張状態に置かれると、 血液中のストレスホルモンのレベルは上昇し、心身が疲れやすく、

イライラ感も増しますので、集中力は低下しやすくなります。

こう した時に集中力を高めようと気合を入れても、かえってイライラが 増してしまうなど逆効果になりやすいので、

気分転換をしてストレ スを発散させましょう。

ところで、物事に集中できる環境には大分、 個人差があります。

「朝、仕事がはかどる」

・「夜、集中できる」

・「自 分の部屋が一番能率が上がる」

・「カフェの様な場所でないと勉強に 身が入らない」

・「バックグランドの音楽は欠かせない」

・「集中する ためにはコーヒーが必須」など、集中できる環境は多様ですが、

注 意が必要な点として、カフェインの取り過ぎには是非、気を付けま しょう。

適量を越してしまいますと、かえってイライラ感が増し、 集中力が低下しますし、

カフェインには依存性の問題もあります。

気になるかたは試しに一日、コーヒーを飲まないで、イライラしな いか試してみましょう。

<心の病気の症状として出現する集中力の低下>:時には集 中力低下が心の病気の症状として現われる事があります。

うつ病、 躁うつ病、統合失調症、不安障害など多くの心の病気で集中力の低 下が目立つ事があります。

「他のかたと会話をしている時、集中でき ず何度も問い返してしまった」

・「授業中、集中できなくて、ぜんぜ ん理解できなかった」といった事が続き、

仕事の能率や学校の成績 が急低下してしまった時は心の病気の可能性もあります。

また、「幻 聴がうるさくて、集中できない」といった事もあります。

心の病気 は一般に、早期に気付けば気付くほど、予後が良好ですが、

病気の 早期は日常生活で見られる不調と区別がつきにくい面があり、

普段 から心の病気へのアンテナを張っておく事が大切だと思います。

結 局、集中力が高まらない時は、その場の状況で、気合を入れるしか ないのか、

それともちょっと気分転換といった感じでしょうが、

急 に勉強や仕事の能率が低下してしまった時などには心の病気が隠れ ている事もありますのでご注意ください。

日常生活において、時に 心の不調を意識する時もあるかと思います。

例えば、朝からイライ ラが止まらず、他のかたのちょっとした仕草や物言いに腹を立てて しまう。

そんな時は仕事や勉学の能率は落ちやすいもの。

とはいえ、 周りからは常にそれなりの結果を求められ、プレッシャーが強い状 況も少なくないかと思います。

それでも「いざ、やりさえすれば簡 単にできるさ!」と、自分に充分自信がある場合もあるでしょう。

ですが、それにすんなり取り組めず、もしもスマホやネットをいつ までも見続けるようならば、

やがて焦りが大きくなってくるでしょ う。

あるいは、少し待てば良い機会があるとはっきり分かっていて も、つい焦りから目先の事に手を出し、

失敗する事もあるかと思い ます。

焦りは心の不調の症状であると同時に、物事に失敗する、よ くある原因の一つ。

焦る気持ちは上手にコントロールしていきたい ものです。

では、焦りを心の不調の現われとして、その対処法を精 神医学的面から解説します。

・・・『1.心の不調に気付いた際は、そ の持続期間と強度をチェックしてみて!:仮に最近、

焦り気味にな っていると自覚があったとします。

一般に心の不調を自覚した際は、 その持続期間、そしてその症状が原因で、

日常生活上何か困った事 態が起きていないかをチェックしたいところ。

もともと焦りやすい 人ならば、それがそのかたのベースラインともいえ、

特にチェック するまでもないかも知れませんが、そうでない場合、例えば、最近、 仕事中、集中力が続かない。

仕事のスケジュールが重く感じられ、「何 とかしなければ」と、焦りが強くなっている。

あるいは、ある日、 隣の家の垣根を職人さんが手入れするのを見て、何か遅れを取った ような気がして、

急遽、自分の家でもそうする事にした。

もちろん、 焦って何かをしても、それで特に悪い事も起きない場合もあるでし ょう。

上記の例でも、家の垣根が立派になれば、それはそれで結構 な事、でも場合によっては、

その急な出費に家族の誰かの機嫌を損 ねてしまうといった事も起こり得る事です。

皆さんは最近、焦りか ら思いがけない失敗をしたといった事は無かったでしょうか?』

・『2. 焦っていると自覚がある場合、その原因は判明していますか?

:焦 りが不安・焦燥感と呼べるほど強まっている場合でも、その原因が はっきりしないことがあります。

もしもその原因が、脳内環境が病 的になってしまった事にあれば

不安・焦燥感以外にも何らかの精神 症状が現れやすいものです。

例えば、気持ちが落ち込みやすくなっ ている。

あるいは、寝付きが悪い。

さらには、日常生活においてパ ートナーとの仲が悪くなった。

そして、アルコールの量が以前より 顕著に増えていないかどうかといった事にも、充分注意を向けてみ ましょう。

もっとも、焦りの原因がはっきりしている場合もありま す。

例えば、家族から何らかのプレッシャーを強く掛けられている ような状況。

あるいは、自分のライバルが先に出世してしまい、差 をつけられたと感じている毎日。

あるいは、日々やるべき事が山の ようにあり、ひどく疲れて、自分本来の調子が出せないような状況 もあるでしょう。

焦りにくい自分になる事は、ゆとりのある大人に なる事。

焦りの原因がはっきりしていれば、その対策を真っ先に考 えたいところ。

例えば、先の例で、家族からのプレッシャーが強い 人は何らかの家族会議が事態を解決するカギかも知れません。

また、 疲れている人は、言われるまでもないでしょうが、休養を取る事を ぜひ考慮してみて下さい。

心身が疲れ果てれば、物事の能率が低下 するだけでなく、うつ病など心の病気のきっかけにもなりやすい事 にご注意下さい。

また、一般的なストレス対策は決して軽視しない ように。

現代はストレス社会、人によっては一日の仕事を終えて家 に帰ってくれば、

「やれやれ」と、ため息が出てしまう事もあるかと 思います。

睡眠、栄養のバランスの取れた食事、適度な有酸素運動、 そして仲間や家族と過ごす時間といった、

ストレス対策の基本は大 切にしたいところ。

実際、仲間の話を聞くうちに、皆自分と似たよ うな環境にある事が分かり気持ちが軽くなった、

あるいは、今の生 活に自信が出て来たといった事もあるかと思います。

ちょっと大げ さかも知れませんが、焦り始める前にやるべき事をいかにしてテキ パキと片づけるか、

ということは人生の大切な課題ではないでしょ うか? もちろん、それが出来る方は少なからずいらっしゃるもの。

でも、そうでない方は決して少なくないはず。

例えば学生時代、試 験の直前、本当に焦ってくるまで、どうしても勉強に身が入らなか ったかたは、

現在やるべき事をテキパキとやれていらっしゃいます か?もっともそれで日常生活上、特に支障がなければ、

精神医学的 には正常範囲です。

ですが、もしも焦るたびに何らかの失敗が続い ているようならば、これを機会にぜひ、対策を検討してみません か?』

・・・その検討のヒントは、まさに上述の内容です。