346[「言い訳ばかりする人」を「スター社員」へ! ] ◎言い訳をする人は、見込みがある人。

[「言い訳ばかりする人」を「スター社員」へ! ]
◎言い訳をする人は、見込みがある人。

「まさかそう来るとは思わなかった」というような、芸術的な言い
訳をする人もいて、

その表現力に舌を巻くこともしばしばあります。

例)「2 週間前の会議でやると言ったことが、どうしてまだできてい ないんだ?」

たとえばこのようなことを上司から指摘されたとしま す。

すると「言い訳アーティスト」たちは無意識のうちに脳のブー スターを働かせます。

ものすごいスピードでこの 2 週間にあったこ とを想起し、会議では「やる」とみずから言ったものの、

今もまだ できていない正当な理由はないか、この期間に起こった出来事の断 片を繋ぎ合わせ、

何とか妥当性のある表現を創造しようと試みるの です。

「確かに、私は 2 週間前の会議で、やる、とお約束いたしま した。

あのときは私も絶対にやり切ろうという気持ちだったのです。

しかしながら、出張から戻ってきた今週月曜日、パソコンを開ける
と雑務が山積みであることを思い知らされるのです。

そのきっかけ
になったのが、課長が先日、導入を決めたグループウェアのシステ
ムでした。

あのシステムのおかげで、私の処理しなければならない
作業がどれほど多いかを教えてくれました。

確かに自分自身が会議
の場で、やる、と宣言したことを先送りしたわけですが、

いずれに
しても、この打合せの後、すぐにでも着手し、終わり次第、お知ら
せいたしますので」と。

<「言い訳アーティスト」たちのスピード感>

:「言い訳アーティ スト」の脳にはブースターがついています。

話している途中から、 次々に「自分を正当化する表現」を編み出しては披露するのです。

恐ろしいほどの「すり替え」・「つじつま合わせ」のスピード感は、 聞いていて恍惚としてきます。

「言い訳」のほとんどは準備なしに 表現する「即興芸」です。

現に起きてしまった行動や状態にうまく 理由をつけて説明をする。

これを意味の偽造、「作り話」と呼びま す。

上司からすると厄介な存在でも、別の角度から見ると「言い訳 アーティスト」は優れたストーリーテラーとも言えるでしょう。

こ のような「言い訳アーティスト」を激変させるには、「言い訳エネ
ルギー」を別の方向へ向けさせるのです。

機転が働くということは、 見込みのある証拠。

スター社員に化ける可能性も秘めているのです。

一方、見込みがない人は、言い訳さえできない。

問題なのは「言い 訳ばかりする人」ではなく「言い訳さえできない人」。

「謝ってば かりいる人」です。

例)「2 週間前の会議でやると言ったことが、 どうしてまだできていないんだ?」 と上司から指摘され、

何も言い
訳せず「ごめんなさい」・「申し訳ありません」と謝ったりする人 がいます。

1 回や 2 回ならともかく、いつもいつも謝られると、上司 は「言い訳のひとつでもしてくれ」という気分になってきます。

「謝 ってもダメだ。

以前もこういうことがあっただろう? 期限内にで きないのならどうして私に相談しないんだ?」

と、このように詰め 寄られても、なぜそれをしなかったのか理由が言えません。

「本当 に申し訳ありません。

次回から気をつけます」と。

相手に「言い訳」 をされると、怒っている側はいったん感情がせき止められます。

相 手が言っていることの整合性を吟味しようとするからです。

ところ が「言い訳」さえないと、感情の置き場に困ります。

負の感情が増 幅してしまうのは、そのせいです。

「前もそう言ったじゃないか。

聞き飽きたわ!私はどうしてできなかったのかと聞いてるんだよ、 言え!どうしてだっ!」 と、

よけいにヒートアップしてしまいます。

感情の舵取りがうまくいかなくなっていきます。

「謝ってばかりい
る人」は、脳のブースターが働かなくなっている可能性があります。

体や心のバランスを崩しているのかもしれません。

そのような状態 なのに、責めたり、怒鳴りつけたりしては、状態を悪化させるだけ です。

謝ってばかりの人、泣きだしてしまう人を見ていると、上司
は感情の置き場に困るでしょうが、

相手は頭がうまく回転しない状 態に陥っている、と受け止めたほうがよいと思います。

「言い訳ア ーティスト」と話していると疲れてくるので、煙たがる人が多いで しょうが、

スター社員に化けることもありますので、上司は「謝っ てばかりいる人」より、

見込みのある「言い訳ばかりする人」に立ち向かっていきましょう。