351[ 日本古来のマナー ]◎日本古来のマナーの意味とは?

[ 日本古来のマナー ]

◎日本古来のマナーの意味とは?

日本古来のマナーとは、実際のところどんな意味があるのでしょう か。

たとえば、「電車内では静かに」というマナーなら、周囲に迷惑 をかけないようにすることだとわかります。

しかし、「畳の縁を踏ん ではいけない」という和室のマナーはなぜなのか、理解している人 は少ないのでは?

・・・そのように、形式としては知ってはいるけ れど、その由来や本来の意味を知らないマナーについて少々、

お伝 えさせて頂きます。

<1.日本ではなぜ箸を使って食事をするのか?>

箸だけを使用して食す日本には、箸に関する大変ユニークな精神文 化が存在します。

農耕文化を築いていた日本人は、豊作を神に祈る ために、魚や野菜をお供えして神事を執り行います。

このとき、神 さまにお供えする神聖な食べ物を、直接手で触るのは神さまに失礼 だ! という考えで、

箸が使用されました。

<2.正月に祝い箸を使うのはなぜ?>

正月などに両側の先が細くなっている祝い箸を使用するのは、日本 には神さまと人が一緒に食事をする、

『神人共食文化』が存在するため箸先の一方は人間が

、もう一方は神さまが使用できる『神人共 食箸』が用いられます。

日本人は序列を好みますから、箸にも格式 を持たせたわけです。

一番格式が高いのは祝い箸、次が割箸、三番 目が家庭で使用される、いわゆる『マイ箸』です。

<3.割箸を上下に割る理由>

飲食店や訪問先で使用する機会が多い割箸。

上下に割るのが正しい マナーだとされています。

これは、左右に広げて割ると、両隣の人 の領域まで割り込むことになり、迷惑をかけてしまうためです。

<4.「畳の縁を踏むな!」の由来> かつて畳の縁には、その家の家紋をあしらったり、

豪華な模様をち りばめたりして縁を高くし、主人の地位の高さを誇っていました。

そのため、『畳の縁を踏む』という行為は、その家の主人に対して失 礼に当たるので、

今でも『畳の縁を踏んではいけない』と言われて います。

<5.「畳の縁を踏むな!」の真意>

また、『畳の縁を踏むな!』は、奉公人への思いやりの言葉でもあり ます。

主人に食事を運ぶとき、女中はお膳を顔の前に掲げて運ぶた め、足元がよく見えません。

畳の縁は高くなっていてつまずきやすいので、『踏むとつまずくから注意して!』という意味も込められいます。

<6.日本の飲食店でおしぼりが出されるようになったのは なぜ?>

おしぼりは日本伝統のおもてなしや癒しの文化。

その歴史は実は意 外に古く、公家がお客さまを屋敷にお迎えする際、濡れた布を出し たことに由来します。

江戸時代になりますと手ぬぐいが普及し、旅 館などで足を洗うための水を張った桶と一緒に、

手ぬぐいが出され るようになります。

これが、戦後になって飲食店などに受け継がれ、 現在のおしぼりの形式となりました。

<7.人を紹介する際の順番について>

たとえば、食事会などで誰かを誰かに紹介したいとき。

どちらを先 に紹介するべきか、迷うことも多いでしょう。

紹介するときは、外 部優先、女性優先、年配者優先、上位者優先です。

訪問先で上司と クライアントがいる場合、クライアントが外部者で優先、

つまりク ライアントが上司の情報を先に知る権利があるということになりま すので、

まずクライアントに上司を紹介します。

<8.「つまらないものですが・・・」の本当の意味とは?>

人に物を贈るときによく使用する『つまらないもの』の意味を、少 し誤解している人が多いようです。

本来は、『凡人の私にとっては大 変高価で素晴らしい物ですが、社会的な地位やお金があるあなたに とっては、

さほど大した物ではない』という意味。

自分をへりくだ り、相手を立てるための言葉なのです。

『持参した物がつまらない』 と謙遜しているわけではありません。

<9.手土産を紙袋ごと渡さない理由>

手土産は紙袋から出して渡すのがマナーとされています。

紙袋は中 身を保護するためのもの。

そのため、贈り物の一部ではありません。

もし紙袋のまま渡したい場合には、『紙袋のまま失礼いたします』と いった一言を添えましょう。

<10.年賀状の「賀詞」の選び方> たとえば、一文字の『寿』・『賀』は単に『おめでたい』という意味。

二文字の『賀正』は『正月を祝う』の、三文字の『四海春』は『世 界に春が来た』という意味だけで、

これらに敬意は含まれていませ ん。

そのため、目上の人には不向き。

目上の人には相手を尊ぶ漢字 の『謹』が入った『謹賀新年』や、

うやうやしいという意味の『恭』 が入った『恭賀新年』などがおすすめです。

また、『あけましておめでとうございます』といった文章は、相手を選ぶ必要がありません。

<まとめ>

マナーには必ず合理的な理由が存在します。

しかし、現在は形のみ が先行してしまい、間違ったまま伝えられているケースが多々あり ます。

マナーを覚えるときには、ちょっと時間をかけて、その由来 や意味も一緒に勉強しておきたいですね。