『肯定型』

『肯定型』

◎何事も肯定型で思考力をアップ!

 素晴らしいアイデアを考えついたかと思えば、混乱して思考停止状態になってしまう頭の中。

しかし、どのように物事を考えているのか、

そのメカニズムについて私達はあまり関心を抱いて来なかったように思えます。

それだけに科学的に立証された脳の仕組みを知ることで、

的確な判断をくだす思考法のヒントが得られます。

脳に入ってきた情報はまず『大脳皮質神経細胞』で認識され、

次に『A10神経群』と呼ばれる部分に到達します。

ここで『好きだ』・『嫌いだ』といった感情が生まれ、その感情がレッテルとして情報に張られます。

次に情報を理解・判断する『前頭前野』へ入って行き、

自分に対してプラスの情報であれば『自己報酬神経群』へ持ち込まれます。

そして、自分にとって価値の高いものにするために『線条体⇒基底核⇒視床』

・『海馬回・リンビック』へと進んで行きます。

A10神経群から海馬回・リンビックまでの神経群を『ダイナミック・センターコア』と言い、

この中を情報がぐるぐる回りながら、人間は思考しているのです。

 私たちの脳の中では、実に複雑な思考システムが機能しているわけです。

しかし、驚いてばかりはいられません。思考力を高めるための重要なポイントと致しまして、

各神経群の機能を守るために生まれて来た「本能」の働きと、

それを脳にとってプラスに作用させる「習慣」につきまして、しっかりと把握することです。

 まず、A10神経群は、「自分を守りたいという自己保存の本能が基盤になっています。

たとえばテストで悪い点数をとると、自分を守るために『こんな点数は覚えておきたくない』

・『この科目は嫌いだ』というように好き嫌いが決められます。

そこで『もうダメだ』・『もう無理だ』と思うと、脳の“否定語”として作用して、

脳の思考力をダウンさせてしまいます。

つまり、何事も否定的にとらえないことが、脳にとって“良い習慣”になるのです。

 次の前頭前野で物事を理解して「正しいか」・「正しくないか」を判断する

基盤になっている本能が「統一・一貫性」です。

私たちが「筋の通らないものはダメ」と判断するのは、

すべてこの統一・一貫性が基盤になっているからです。

それゆえ、その理由を問われても「いいものはいい」・「悪いものは悪い」としか

答えようがないのです。

実はそうした統一・一貫性を活用することで集中力を高められるます。

 「仕事をしていれば、嫌なことでも考えなくてはいけないことが当然出て来ます。

その時に大切なのは、『環境の統一・一貫性』を保ってあげることです。

つまり、自分の脳が良く働く一定の環境を作ってあげることです。

その環境のことを“マイゾーン”と呼びます。それはトイレの中でしたり、

蒲団に入って目を閉じた状態でしたり、人によって様々です。

しかし、マイゾーンに入っておりますと、集中力が高まって考え続けることができるようになります。

もちろん、事務所に自分専用の個室をお持ちの方は我が国では限られます。

ですが、無くても一向に構いません。デスク周辺を整理整とん、

目に入るものは考えるのに必要な資料だけという状態に保つだけでも、

マイゾーンをつくることは十分に可能です。

そして次第に隣りで同僚が電話をしていても気にならなくなり、

ダイナミック・センターコアのなかで思考を巡らせるようになって行きます。

更に次の自己報酬神経群ですが、文字通り自分に対する報酬が与えられることにより

まして機能する神経群でもあります。

では、脳にとっての報酬とはどのようなものでしょう。

「人間には生まれながらにして持った『仲間になりたい』という本能があり、

脳に『人が喜ぶことが自分にとってもうれしい』と感じさせます。

つまり、貢献心が満たされる時に『自分にとっての報酬』と捉え、

『自分でやってやる』という欲望へつながっているのです。

 また、何かトラブルに巻き込まれてしまい、

「嫌だな」・「面倒だな」と感じた途端に思考力が低下し、解決策を見出せなくなる場合があります。

逆に「このトラブルを解決することでお客様や会社の仲間を助けることができる」と

肯定型で捉えられれば、「自分が最高の解決策を出すのだ!」という

モチベーションが生まれて来ます。

 自己報酬神経群は、『もうできた』・『もう終わりだ』と思った瞬間に、

モチベーションを低下させる機能がありますので注意が必要です。

それは、「大体出来た」と感じることで、無意識のうちに思考することをやめてしまうからです。 

マイナス状況に直面した際、それに背を向けたりひるんだりしますと、

人間の思考力はダウンしてしまいます。

何かと閉塞感が漂う世の中ではありますが、ここは一つ気持ちを前向きに切り替えて、

思考力をアップさせてみてはいかがでしょうか。