『目線の差』

『目線の差』

◎同じ「見つめる」でも、男女で意味が違う!

 エコの発想を取り入れたミネラルウオーター「い・ろ・は・す」や

ノンアルコールビールのブームをつくった「キリンフリー」など女性が生み出した商品は、

既存のものや事柄に新たな価値をつけ加えているのが特徴と言われます。

男性と女性のアイデア力はどこで差が出るのでしょうか?

 研究者の方の公表と致しまして男女の間には、文字通り、「目のつけどころ」に違いがあると言います。

情報を獲得する時、大きなウエートを占めるのは視覚情報と言われますが、

例えば誰かと話す際、言語から受け取る情報量はわずか30%にしか過ぎず残り70%は、

相手の表情・洋服の色などで、多くは目から情報を得ているということです。

視覚から得る情報量は1秒間に1万要素に及び、このうち、4,000要素を脳が処理できるという

研究報告もあるほどです。ですが、この同じ『見る』でも、視点に男女差があるのです。

人間の行動を決める15の欲求の強さの度合いを調べる心理テストで、

「見つめる」という行為からその人が何を欲求しているかを調べたものがあります。

同じ「見つめる」でも、男性は顕示欲求と変化欲求が抜きん出て強く、女性は異性愛欲求と

養護欲求が強いのがわかるのです。

人間の行動を決めるのは欲求です。この結果から判断致しますと、

男性は自分を認めてほしいという感情や、変化を求めてものを見る傾向があります。

従来にない革新的な新商品を生み出したり、ベンチャービジネスの起業家に比較的、

男性が多いのはそのためでしょう。対しまして、女性は異性愛欲求・養護欲求が強いということで、

人との関わりを重視して物事を捉える傾向がうかがわれます。今の生活をもっと便利にしてあげたい、

もっと楽しくしてあげたい、という発想で商品開発をするのが女性の特性というわけです。

さらに、この「見る」ことにおける男女差と致しまして、表情読み取り能力の違いがあります。

日常生活でもビジネスでも、相手の顔色をうかがう場面はよくありますが、

微細な表情まで見逃さないのは圧倒的に女性なのです。

微細な表情とは学術的には微表情(マイクロ・エクスプレッション)と呼びます。

それは、まばたき・眼球の動き・口角の小さな上下などが該当します。

この微表情が現れるのは、口を開けて笑ったり、目を丸めて驚いたりといった大きな表情に

移る前のほんの一瞬、0.5秒ぐらいの間です。大きな表情の変化は意図的にコントロールできますが、

微表情は統制が利きません。つまり、この一瞬の小さな表情でその人の本音がわかるというわけです。

具体的な例と致しまして、果たしてどちらが先に嫁に行くかと常に語り合っていた仲の良い友人に、

結婚を迎えた際に「おめでとう」と笑顔になるその直前に微妙に口角が下がれば、

嫉妬やねたみが心の内にある証拠なのです。また、「明日の会議の資料はバッチリできています」

と言った瞬間、眼球が泳げば、まだ仕上がっていない可能性が大となります。

このわずかな表情を読み取れるか読み取れないか、これが肝となるのです。

この微表情の読み取り能力を調べるために、52パターンの微表情を2秒ずつ撮影した

映像を見せて感情を推定するという実験の結果、何度行いましても正答率は、

女性が男性を大きく上回ります。

女性がこの能力に長けている理由は定かではありませんが、やはり小さいころから

鏡で自分の顔を見る機会が多いためとも言われます。男性も、訓練すれば微表情を

読み取れるようになりますが、まず、人の表情に関心をもつことが大切です。

ビジネスの場にて、この微表情の読み取り能力が効力を発揮致しますのは、

プレゼンや商談の場面となります。何よりも大切なことは場の空気を読むことですが

相手の反応次第で、臨機応変な対応が欠かせないものです。

たとえば、新商品に対しまして「ほう、面白いですね」と言いながらも、

一瞬、相手の口角が下がれば、本音では興味がないか、早く終わらせたいと思っているか

・・・ということです。従いまして当然、話の進め方も変わって参ります。

最悪なことは、相手の表情も時間もおかまいなしに、延々と自分のペースで

しゃべり続けることとなりますが、同じ「見つめる」でも、男女で意味が違うということを

頭の片隅に置きましての日々の自己研鑽こそが肝要ではないでしょうか。