『人生大逆転の方法』

『人生大逆転の方法』

◎「思い込み」を白紙化しよう!

根拠のない「思い込み」に振り回されていませんか?

「話が下手だ」・「センスが悪いね」・「この仕事は向いていないね」・・・

そんなことを言われて、ずっと気にしてしまった経験はないでしょうか?

不思議なことに、気にしていると暗示にかかったかのように、その通りになってしまうことがあります。

「話が下手だね」と言われた人は、そのことを意識しすぎるあまり、

人前で話をする時にぎごちなくなり、「やっぱり自分は話が下手なんだ」という気がして来ます。

そのうちに、人前で話すこと自体を躊躇し避けるようになります。

話す機会が減って行き、やがて本当に話が下手になって行きます。

このように、人から言われた何気ない一言がきっかけで、苦手意識が出来てしまって、

仕事や生活に影響を及ぼしてしまうことがあります。

その影響は決して小さなものではありません。時には、人生の選択肢や可能性を

大幅に狭めてしまうこともあります。

ある中学生の子は「僕は数学が苦手。どうせムリだ」と言っていました。

それほど数学ができない子ではないのに、苦手だと言っています。

不思議に思って「どうして、そう思うの?」と聞くと、

「小学生のときに学校の先生から応用問題が苦手だねって言われた」と言うのです。

以来、「僕は応用問題が苦手だ」と思うようになり、算数・数学に対する苦手意識を持ってしまったようです。

「僕は応用問題が苦手だ」と思っていますから、算数や数学を勉強する気にはならなくなります。

数学の勉強をしないことによって、数学の成績は少しずつ低下します。

そうしますと「やっぱり僕は数学が出来ないんだ」と思うようになって、

数学に対する苦手意識がいっそう強まり、数学を敬遠するようになります。

高校に入りますと、理系か文系かを選択しなければならない時が来ます。

「数学が苦手だ」と思っている子は、理系ではなく文系を選びます。

その時点で、エンジニアや医者になる道は閉ざされてしまいます。

そして、大学の文系学部に進んで、文系の就職先を選んで仕事に就くことになります。

もともとは数学がそれほど出来なかったわけではなく、きちんと勉強すれば、

出来るようになったはずです

。数学に対する苦手意識がなければ、エンジニアにも医者にもなれたかもしれません。

しかし「自分は数学が苦手」と思い込んでいるために、人生の選択肢を自分で狭めてしまったのです。

きっかけは、「応用問題が苦手だね」という先生のちょっとした一言です。

先生がどのようなつもりで言ったのかはわかりません。

「いつものキミはもっと早くできるのに、今日はいつもより遅い。

もっと頑張りなさい」という意味だったのかもしれません。

しかし、言われたほうは「僕は応用問題が苦手なんだ。算数が出来ないんだ」と

受け取ってしまったのです。

先生から言われた一言をずっと覚えていて、それが思い込みとなって、

数学の勉強を避けることにつながってしまったようです。

これは教師の世界のお話限定ではありません。先輩から後輩へのたった一言が重いのです。

「人生を左右する」ということを身にしみて感じ、自分たちの戒めとしなければなりません。

ある会社の研修の場で40代・50代の幹部社員の方々に、過去に親や教師に言われて

苦手意識をもった経験の有無を記入して頂きました。

そうしますと、なんと全員に思い当たることがありましたようで、

小中学生の時に先生に言われたことや、親に言われたことを覚えていて、

それが現在にまで影響していると答えました。

「積極性に欠けると通知表に書かれた」・「絵が下手と言われた」など次々と出て来ました。

いずれも、小中学生のときの出来事です。それがずっと頭に残っていて、

「自分はそういう人間なんだ」と思い込み、暗示にかかったかのように何十年間もの人生に

影響を与えて来たのです。

実際にお聞きしてみますまで、これほど影響が出ているとは思いませんでした。

その後、いくつかの会社に講師として伺いました時に、

「思い込みの自己イメージが人生に影響していませんか」と問い掛けてみました。

すると、みなさん思い当たることがあったようです。ちょっとした出来事がきっかけで、

自己イメージが作られ、それが仕事や人生に大きく影響していることを実感されたようです。

自分が抱いている自己イメージについて振り返って考えてみますと、

些細なことがきっかけとなっており、ほとんど根拠のない「思い込み」だったということに気づきます。

そうしますと、パッと人生の視界が開けてきたような気がして来ます。

思い込みのイメージが白紙になるようなものだと考えて、「白紙化」です。

「思い込み」をいったん白紙化する――シンプルなことですが、

そのシンプルなことが大きな効果を発揮します。

自分の人生をあらためて振り返ってみますと、「まさか、あんな昔に言われた一言が

何十年間も自分に影響していたとは!」と驚かれるのではないかと思います。

その驚きは新しい自分に変化する第一歩です。

みなさんも、ご自分の人生を一度振り返って、思い込みを白紙化してみてはいかがでしょうか?

白紙化したあとは、自分の思い描く自己イメージを作って行くことができます。

新しい自己イメージを心に描いて行動を重ねて行きますと、

それに対応する部分の脳の回路が強化されて、いつのまにかそのイメージの実現に近づいているはずです。

私がおすすめしたいのは、「もっともっと尊敬できる自分づくり」です。

自分の中に一本の揺るぎない基軸を作りますと、迷いが消えて、

目標により早く近づくことができます。

自分の思い描いた自分を目指して、楽しみながら自分づくりをして頂ければと思います。

人生は自分が主人公の「自分づくりゲーム」です。楽しく取り組んでみて下さい。