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『 正しい承認 』

◎承認レベルを正しく理解!

職場における正しい承認、正しくない承認。

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それぞれのシチュエーションで、正しいレベルの承認を・・・。

どのようなシチュエーションで、どのようなレベル感の承認をするのか/承認を求めるのか。

こう考えていけば、正しい答えが見つかりやすいでしょう。

例)上司が部下に対する承認シチュエーションについて考えてみましょう。

レベルを10段階で表現します。

● 承認レベル1 → 「ありがとう、と部下に言う」

● 承認レベル2 → 「すごいね、驚いたよ、と部下に言う」

● 承認レベル5 → 「模範社員だと朝礼や会議などで、他の社員に触れ回る」

● 承認レベル7 → 「組織に不可欠な存在だと同僚たちと噂する。人事考課も最高レベル」

● 承認レベル10 → 「これまでなかった社長賞を、この部下のためだけに創設する」

それぞれのレベル感が正しいかどうかではなく、ニュアンスが伝わればと思います。

これを読んでいるあなたなりのレベル感を考えればよいでしょう。

重要なことは「承認している/していない」

・「承認されている/されていない」の2極で受け止めてはならない、ということです。

例)続いてシチュエーションについて考えてみます。

■ 上司に言われたとおりの期限に資料を提出した。

■ 自分の仕事ではなかったが、残業して他部署の仕事を手伝った。

■ お客様のニーズをいち早くキャッチして先回りし、物流手配をし、

先方から当社の社長へお礼の電話が入った。

■ 組織内で有志を募り、早朝1時間の朝会を開いて、経営の勉強会を5年以上主宰している。

■ 10年以上、営業成績がトップで、会社の営業利益の2割以上を1人で稼ぎ続けている。

それぞれのシチュエーションで、どのようなレベル感の承認がもたらされるか。

普通に考えれば、人によってそれほど差がないことがわかります。

たとえば、上司に言われたことを1度やっただけで、人事考課が最高レベルになったらどう感じるでしょうか。

10年以上、目標の3倍以上の結果をたたき出したトップセールスが、

上司から「ありがとう」の一言しかもらえなかったらどう感じるでしょうか。

どちらも「承認」には変わりませんが、貢献レベルと承認レベルがマッチしていません。

※承認の2つのポイント

ポイントは2つです。

● 水準

● 期間

と覚えておきましょう。

組織に貢献した水準、度合がどのレベルに達しているか。そしてその水準の貢献が

どれほどの期間、持続しているか。

この「かけ算」で承認レベルは高くなっていきます。長期間にわたって、

とても高い水準の貢献を組織にもたらす人は評価されて当然です。

反対に、当たり前のこと、やるべきことを1度や2度やっただけで承認されることはないのです。

上司から「お疲れさま」と言われることはあっても、「ありがとう」

・「よくやった」などと声をかけられることはありません。

こう考えると、組織に入って1年や2年では、それほど大きな承認はもらえません。

もし強い承認欲求があり、満たされたいなら、相応のレベルの貢献をすべきでしょう。

貢献レベルと承認レベルがマッチしていないと、人は「認知的不協和」を起こします。

そうしますと論理思考が衰え、何をやってどのような承認をされるのかがわからなくなってきます。

ひどい場合は、思考が反転してくるのです。本来は「貢献して承認される」はずなのに、

「承認されないと貢献できない」という思考になる、ということです。

※「過剰承認」を勧める管理者教育?

昨今、管理者研修では「もっと部下を褒めなさい」・「もっとお互い認め合って絆を深めなさい」と

教えられることが多いようです。

部下を褒めること、認めることに慣れない人には良い管理者教育だと思います。

しかし過剰承認は部下の頭を根腐れさせる恐れがあります。

何事も不慣れなときは、物事を極端に、過激にとらえるケースがありますので気を付けましょう。

日ごろから気を付けるべきことは、相手の存在に対する「承認」であって、

相手の成し遂げたことへの「承認」ではないのです。評価制度という仕組みを使った承認でもありません。

普段から部下や同僚に関心を寄せ、「挨拶・雑談

を繰り返しましょう。これは家族や地域社会に対することでも同じです。

相手が組織に対して何も貢献していなくても、存在自体を承認することはできます。

「認知的不協和」を起こすこともありません。要するに「無視」・「無関心」の反対をすればよいのです。

承認飢餓に陥っている人は、家族や世間、職場から「無関心」・「無視」されているという意識があるのでしょう。

愛の反対は無関心ですから、普段から「愛情」を得られないということです。

『正しい承認』は、ビジネススキルと共に、わたしたちが生きて行く中での大切な

コミュニケーションスキルでもあります。