213[ 内向型タイプ:コミュニケーション活性化法 ]◎人間関係の『深化過程』を押さえる!

[ 内向型タイプ:コミュニケーション活性化法 ]

◎人間関係の『深化過程』を押さえる!

自分を「弱い存在」と思うばかりでは、進化がありません。

世の中で、「自分より強い存在」に見える人は、大勢いるように見えますが、

実はそういう人たちも、周囲に「自分より強い存在」を強く認識し、「自分は弱い存在」と

考えていたりするものです。

自分を弱いと思うあなたの見方は、あなたの思考にすぎません。

人間関係に、「絶対的な価値観」などないからです。

弱みが強みに変わる逆転の心理学:「内向型の自分をうまく生かしていく方法」

・「人間関係において相手との関係性が逆転できる方法」をご提案させて頂きます。

<「好き」と「嫌い」のメカニズムを知ろう>

相手の懐に入るためには、人が誰かを好きになったり、嫌いになったりするメカニズムを

心得ておくことが大切です。

人が誰かを好きになるのは、相手を安心できる「味方」と認識し、

共感できるところがあるからです。

嫌いになるのは、相手に脅威を感じて「敵」と認識し、共感できないところが多いからです。

たとえば実際に会ったことがなくても、テレビに出てくるタレントなどに対しては

「好き」や「嫌い」の感情が湧くことがあるもの。

好きなタレントに対しては、容姿や言動に好感が持てて、共感できるものがあったり、

嫌いなタレントの場合は、その逆になるわけです。

ですが、嫌いなタレントでも、その人の好ましい面を発見したり、

自分と同じ趣味を持っていたりすることを発見しますと急に好きになる場合があります。

心理学では、「共通項・類似性の原理」と呼ばれる現象です。

相手に自分と共通するものや、似たところを発見しますと、

「味方」と安心して共感してしまうのが人間なのです。

同じ仲間のように安心感が得られるからこそ、相手に好意を持つということ。

「好き」「嫌い」という感情には、このようなメカニズムが働いていることをまず認識することから始まります。

<「近似性・類似性・共通項」で好意が生まれる>

つまり人は、相手との間に共通項や類似性が全くありませんと、会話が盛り上がらないばかりか、

相手に嫌悪感すら覚えてしまうものということを押さえなければなりません。

たとえば「猫が好き」という相手に、「猫は嫌いだし、そもそも動物に興味がなくて、

かわいいと思ったことがない」などと言ってしまいますと、険悪なムードが漂い始めます。

共感できるところが一つもありませんと、安心できる相手ではなくなるということです。

同じように、学校のクラスメートより、部活やサークルなどを通じたメンバーのほうが仲よくなりやすいのも、

好きなことを共有しているからなのです。

それは、お互いが共感しやすい環境にあることが影響しているからなのです。

従いまして、誰かと親しくなりたければ、相手の好きなコトやモノを事前に探っておいて、

会話の中で「実は、○○が好きで…」などというと、急に盛り上がって仲良くなれるものなのです。
このメカニズムは、幅広い分野で働くものです。

<「気の毒な事情」での共有体験があれば相手はやさしくなる>

口下手で弱気に見えてしまいます内向型タイプのかたは基本、あまり自分のことを語りたがらないもの。

そのため、自分という存在を周囲から見えにくくしています。

すると当然ながら、誰かと共通するものがあったとしても、相手に気づいてもらえません。

それどころか口が重いと、誰かと共通項や類似性を持つことを伝えることも不可能。

だからこそ、口下手で内向型タイプのかたこそ、「共通項・類似性の原理」を意識していくべきなのです。

例と致しまして、自分につらく当たってくるかたに対しまして、

「共通項・類似性の原理」は「弱者戦略」としてもきわめて有効となります。

また、自己開示してみるのも一つの手です。

たとえば、上司と自分には、生い立ちや境遇が苦しかったという共通点があったとします。

そうした場合、上司がそのことを知りますと、そこに共通項が生まれ、あたたかい助言へつながります。

弱気部下の姿を通じ、自分を見るような「投影」が生じるからなのです。

<「似ている・同じ」が共感を呼び「好意」を育む>

部下が上司と仲よくなって行く過程で重要なのは、「単純接触の繰り返し」と

「共通項・類似性の原理」のセオリー。

こうすることで上司と部下との「好意」と「信頼」の関係は深まって行くわけですが、

お互いを知る過程で、徐々にお互いの「異なる点」も明らかになってくるものです。

とりわけ、能力やスキルといった部分では、ギャップも大きくなるといいます。

例)上司は、業務遂行能力における経験値が高く、部下は低い。

上司はパソコンが苦手でも、部下はパソコンが得意等。

こうしたお互いの違いが明らかになって行く過程で重要なのは、相手をサポートする姿勢です。

<「相補性」がはたらきはじめると強固な関係が築ける>

先に触れたとおり、人間関係は最初の段階においては「似たところ・共通項」がたくさんあることで、

親しみが湧き、お互いに「好意」を醸成させるもの。

しかし一定の信頼関係ができた段階になると、お互いの「異なる点」も認識して行くようになるわけです。

そこで、お互いに「自分の足りない部分を相手に補ってもらう」「相手の足りない部分を自分が補う」という

関係に発展するということ。

この段階になりますと、上司が部下を守り、部下も上司を守る関係ということになりますから、

がっちりスクラムを組み、困難に際してもお互いが協力しあって立ち向かうという理想的な関係が

構築されてきたといえるわけです。

このように、お互いが「先生になったり、生徒になったりする関係」を心理学では

「相補性(そうほせい)の原理」と呼び、次のような人間関係の5つの深化過程において、

第4段階に位置づけられます。

《第1段階》『出会い』……第一印象の形成(安心か脅威かのイメージ形成)

《第2段階》『親近化』……単純接触の効果(よく見かける・時々言葉を交わす)

《第3段階》『定着化』……共通項・類似性の原理(似ている・同じなどの近似性)

《第4段階》『安定化』……相補性の原理(得意・不得意分野を補い合える関係)

《第5段階》『深化』……自己開示の効果(悩みやプライバシーを打ち明ける関係)こうした段階を

手順よく踏んで行くことで、口下手で弱気に見えてしまう内向型タイプのかたも、

スムーズな人間関係を築いて行くことができます。

ついつい引っ込み思案になりがちですが、適宜自分からもメッセージを発信していきませんと、

相手には届きません。

つまり大事なのは、自分の個性を見えにくくしないことだという考え方です。

「口下手だから」・「内向型だから」と悩んでおられますかたは、お試し頂いてはいかがでしょうか?