[ コミュニケーション:効果的な言葉の使い方 ]
◎場面ごとの使い分けが肝要!
果たしてどのように受け取られるか?
<どう違う? 得する「ほめ言葉」/損する「ほめ言葉」>
何げない一言が相手に好印象を与えたり、予想だにしなかった地雷を踏んでしまったり。
コミュニケーションは難しいものです。そこで、どのようなもの言いが、お得に効果的でしょうかを考えてみました。
【ほめる】
「仕事を見せると『素晴らしい!』とよく言う先輩。
本心じゃないだろうと思いつつうれしい。(30歳・男性・商社)」というように、
誰だってほめられて悪い気はしません。
・・・「意識的に使っているフレーズや言い回し」をアンケート調査致しました。
多かったのはほめ言葉です。
・・・「『プロですね!』・『持ってる人は違うな〜』・『キテますね』など使いまくってます。
(40歳・男性・広告)」、「部下には『さすがだね』の一言でやる気に火をつける。
(41歳・男性・販売)」と、それが奏功しているかはともかく、ほめて伸ばすは職場で基本となってます。
さらに一歩進んで、「どこを評価しているのか、具体的に指摘するとより効果的」なのです。
「ただ、『すごいね』ですと具体性に欠けます。
どこがよかったのかの感想を添え、『努力した成果だね』など、そこに至るプロセスをほめますと
相手の充実感を引き出せます。さらに、『この間の企画、会議で評判がよかったよ』と、
第三者からのほめ言葉をさりげなく伝えますとまちがいなく喜びは倍増します」
・・・しかし一方で、「先輩に『すごいですね』を連発したらバカにしてるのか!?と怒られた。
(35歳・女性・出版)」というかたもおられて、相手との関係性や言い方によってほめるのも
逆効果になりますから難しいのです。
「ほめるというのは本来、“上から目線”の行為なんです。目上の人に『すごいですね』は失礼。
『勉強になります』・『感銘を受けました』と下から敬意を表しつつ言うのが正解です。」
また、「先輩や上司への『さすがですね』は口先だけのお世辞と誤解されかねません。
『私もこういう資料を作れるようになりたいです。』と具体的に付け加えることで尊敬の気持ちが伝わります。」
・・・ほめることが有効なのは、ビジネスシーンばかりではありません。
「合コンの『さ・し・す・せ・そ』――さすが! 知らなかった! 素敵♪ センスいい〜 そうなんだーは
フル活用。便利。(30歳・食品)」と女性に言われるとビミョーですが
、ほめようとする姿勢は見習うべきではないでしょうか。
また、ほめどころが見当たらない残念な相手でも、「“雰囲気”“おしゃれ”“センス”など、
ほめるポイントはどこかにあるものです。
この時、身につけているモノそのものより、それを選んだあなたが素晴らしいとその人自身をほめるとより
うれしいはずです。また、『いつもセンスいいですね』と
『いつも』・『今日も』をつけるとさらに好印象です。」
ですが、なんでもかんでもほめると見え透いたお世辞に聞こえる点も良くわきまえて、
「あえて一点にしぼって、言葉に重みをもたせることも重要です。」
【ほめるフレーズ辞典】
○「勉強になります」
ほめ言葉は本来、上から目線のもの。
特に目上の人に対しては、尊敬の念が伝わるように下から目線で。
△「さすがですね」
言われてうれしい場合もありますが、相手との距離感によっては、口先だけの軽い印象を与えかねない。
×「すごいですね」
具体性に欠けるため、相手の心を動かさない。
相手を観察してほめるポイントを見つけるべし。
<あいづち」を打つのにベストな言葉は何?>
【同意する・あいづち】
「『なるほど』は使い勝手がよすぎて口グセ。
(35歳・男性・教育)」と、ワンパターンになりがちなあいづち。
同じ言葉の連呼は受け流しているようにも見え、そのバリエーションは揃えておきたいものです。
おすすめは、「わかります!」・「へぇ〜」・「まったくですね」といった“共感”フレーズ。
「『それで、それで?』と話を引き出す。(32歳・女性・美容)」かたもおられます。
「『そうですね』は、相手の発言を肯定しているようでいて否定もせず、
具体的な対応を示さずにすむ便利な言葉。(49歳・男性・教員)」というかたもおられます。
「『それで?』は話に興味があることが伝わりますし、『そうですね』はいつでも使えるあいづちです。
ですが、『そうなんだ』と言い切ってしまいますと、話を流している印象を与えかねないのです。」
もちろん、すべて語気や口調次第。そのトーンを変えて「ですよね〜」をうまく使っているかたもおられます。
「賛成!のとき以外でも、例えば、予算が厳しいという交渉の後、
相手から予想通りのツッコミが入ったときに力なく『ですよね〜(沈黙)』と言うと
複雑な事情を察してもらえる。
(37歳・女性・企画)」そして、意外な要注意ワードが、「えっ? 本当ですか?」です。
それは、「ともすると、相手の話を信じていない印象を与えかねないのです。」
【同意する・あいづちフレーズ辞典】
○「わかります」
相手の思いに寄り添い、相手に良い印象を抱かせる共感フレーズ。
「いいですね」・「素晴らしいですね」なども。
△「本当ですか?」
会話が盛り上がる場合もありますが、相手の話を信じていない印象を与えることもありますので気をつけたい。
×「そうなんだ」
さらっとしすぎていて、聞き流しているようなマイナスイメージを与えてしまいます。
深くうなずくなどの態度で。
<上司への反論はまず「なるほど」から始めるべし>
【反論する】
相手の気分を損なうこともある、異論・反論には勇気がいる。
が、言わねばならぬときもあるのです。
「上司にはたとえ自信があっても『細かくてスイマセン』とクッション入れる。
(33歳・女性・金融)」、「断定はしないで、『もしかしたら〜』と前置く。
(46歳・男性・流通)」など皆さん、気を使っているようです。重要なのは、
「相手の意見は一度、引き受ける」ことです。「まず『なるほど、そうですね』と相手を受け止めてから、
『ひとつだけ質問してもよろしいですか?』と切り出します。
いったん受け入れてもらったことで、相手にも考え直す余裕が生まれます。」
また、「『お言葉を返すようですが』はよく使われるかもしれませんが、
これですと、『今から反対します!』と宣言しているようなものと受け取られがちです。
『わかりました』と承知した後、『少しだけ』・『一点だけ』と断って、自分の考えを伝えましょう。」
とはいえ、侮蔑的な言葉を言ってくる相手、失礼な言葉には毅然とした態度も必要です。
「そのような時には『それはどういう意味ですか?』で切り返しましょう。
相手の意見を問い直すことで同意しかねることを示すわけです。
また、人は質問をされると無意識に答えなきゃと反応し、たじろいでしまいます。
これで会話の主導権を握ることもできます。」
【反論するフレーズ辞典】
○(理解を示した後で)「少しだけいいですか?」
いきなり反論せず、まず相手の意見を受け入れる。
すると、こちらの意見を聞き入れる心の余裕が生まれます。
△「それどういう意味ですか?」
侮蔑的な言葉には、相手をけん制するフレーズが有効。
態勢を立て直し対等な立場から相手に非を自覚させるのです。
×「お言葉を返すようですが」
相手を臨戦態勢に誘いこむ強い言葉。
逆に下手にばかり出てはいけないときには有効な場合も。
<「承認欲求」を満たす言葉がすべての基本>
生物の本能に、個体維持、種族保存という生存欲求があります。
自分を否定し攻撃する存在が現れると、緊張し身構えてしまう。
反対に、自分を認め、受け入れてくれる人には好意を抱く。
この本能的な願望が「承認欲求」で、これを満たしてあげることがコミュニケーションのいろはの「い」です。
「なるほど」といった受け入れの言葉で会話がスムーズになりますし、
「キミがいてくれて助かった」と言われれば、人は存在を認められたわけですからうれしくなります。
すると今度は「返報性の原理」という反応が生まれます。返報性の原理とは、
簡単に言いますと「お返ししたくなる」心の動きです。自分を受け入れてくれる相手はこちらも受け入れたい。
これは逆に言えば、相手の気持ちを受け止めてあげないと、心を閉ざしてしまうということとなります。
とはいえ、いつでも唯々諾々とする必要はありません。相手に合わせない反同調が必要な時もあります。
対等に互いを認め合えるような関係を築ける言葉を選んでいくことが大切なのです。
・・・場面ごとの使い分けで、日々の仕事を円滑に
・・・それは仕事だけではなく身近な方との会話の中でも念頭に
・・・コミュニケーションの活性化・・・笑顔あふれる日々へ。
・・・どうぞお使い下さい。
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