[ 心の守り方 ]
◎熱心なために燃え尽きてしまわないこと!
限界を知り、オンオフの切り替えを!
☆「感情労働」を知っていますか?
たとえば教師は、いつでも「先生らしく」接することを求められる感情労働。
あなたの仕事は、「決められた感情」で人に接することを求められる仕事ですか?
たとえばサービス業や営業職の人は、苦手なお客さんにも常にニコヤカに対応することが求められます。
苦情の対応に追われるコールセンターでは、怒鳴り声にもやさしい声で受容的に対応することが求められます。
教師や保育士もまたしかり。
常に「先生」として適切な言葉・表情・態度で子どもたちに接することが求められる仕事です。
また、看護師やカウンセラー、ケアワーカーは、専門家として患者や利用者に感情を使って安心を与える仕事です。
このように、「人相手」の仕事につく人の多くが、決められた感情の管理を求められ、
こうした規範的な感情を商品価値として提供する仕事を「感情労働」といいます。
「肉体労働」や「頭脳労働」は昔からよく知られる言葉ですが、
「感情労働」は近年注目されてきた新しい概念です。
<仕事に熱心なあまり、燃えつきてしまう人も>
あんなに好きだった仕事が急に嫌になってしまう・・・・・・それがバーンアウト。
感情労働は、とてもストレスフルな仕事です。
不快なこと、失礼なことを言われたら、つい嫌な気持ちが顔に出てしまうのが人情ですが、
感情労働においては、個人的な感情を仕事に反映させないように、セーブすることが求められます。
個人的な感情を表に出さずに、どんな相手にでも同じように接することが求められたりします。
こうした仕事の顔は、プライベートの場でも求められることがあります。
休日でも、「先生なんですね」と言われれば、それらしく行動しなければと感じたり、
「看護師だから親切でいなくては」・「ケアワーカーだから優しくなければ」というように、
周囲も本人も、仕事の顔は実際の本人と裏表なく一致しているべきだと、考えやすいものです。
そのため、感情労働につく人は精神的に消耗しやすいのです。
とくに、使命感がとても強く、ひたむきな気持ちで仕事をしている人ほど、
突然ポキッと心が折れてしまうような虚無感に襲われることがあります。
これを「バーンアウト」(燃えつき症候群)と言います。
バーンアウトに陥ると、突然仕事にやりがいを見い出せなくなり、
人が変わったように冷淡な対応をするようになったりします。
これは、いつも決められた感情で仕事をしなければと頑張りすぎて、情緒が消耗してしまった結果です。
「こうあらねばらない」という仕事上の「ペルソナ(仮面)」に縛られすぎてしまう人ほど、
バーンアウトするリスクを抱えているのです。
<感情労働者のバーンアウトを防ぐには?>
限界を知り、オン・オフの切り替えができる人はストレスに強い。
とはいえ、感情労働は、やりがいのある仕事です。
洗練された笑顔は人を幸せな気持ちにさせますし、真摯な対応は受け手を安心させ、
生きる力を与えることができます。
そんな仕事にやりがいを持つ人のなかには、仕事と個人を分けて考えることができず、
仕事にのめり込んでいく人が少なくありません。
当面はやりがいと使命感で高揚し、仕事に邁進できても、休みなくその状態を続けると、
心のエネルギーが失われ、燃えつきてしまいます。
その結果、出勤することもできなくなり、好きな仕事をあきらめてしまう人もいます。
そのため、感情労働につく人は仕事にかける思いと同じくらい、
仕事に打ち込む時間や気持ちの込め方に制限をかけることも意識し、
オンとオフのメリハリをつける必要があるのです。
たとえば、「ここまでは頑張るけれど、ここから先はできない」という限界を知っておくこともその一つ。
限界を理解すれば、仕事の物理的な負担、精神的な負担を一人で抱え込むリスクを減らすことができます。
また、仕事中は気持ちを込めて対応しても、仕事が終わったら意識を切り替えて、自分の時間を守ること。
「あのことはまた明日、仕事中に考えればいい」というように、ある程度割り切って考えることが
必要になることもあります。
また、休日には勉強会や研修会など、自己研鑽にばかり時間を費やすのではなく、趣味や気晴らし、
ムダ話の時間も大事にすることです。
<「仕事の私」のイメージは私の全部ではない>
プライベートでも、仕事のペルソナに縛られたままではありませんか?
また、仕事では「清楚なお姉さん」・「白衣の天使」・「みんなのお母さん」といった
理想的なペルソナがつきまとっていても、そのイメージが必ずしも「自分自身」であるわけではありません。
わがままな顔や冷酷な顔・なまけ者の顔・したたかな顔など、色々な側面を持っているのが人間です。
期待される職業上のイメージと自分自身を一体化させねばならないと頑張ってしまう人ほど、
職業上のペルソナに合わない自分自身の「負の側面」が許せなくなってしまうものです。
すると、「私は○○のプロなのだから、いつでも○○でなければならない」という思い込みが自分を縛り、
追いつめてしまいます。
感情労働を選ぶ人の多くは、人間が大好きで、感情が豊かな人だと思います。
それだけに、いつも笑顔で懸命に人に尽くしてしまい、知らず知らずのうちに疲れを溜めてしまうのでしょう。
仕事は長く続けていくことに意味があります。
せっかく選んだ適職をバーンアウトで失わないように、また労働の価値である感情を守るためにも、
仕事とプライベートとの時間的な切り分けをし、「プロはこうあらねばならない」という
職業上のペルソナにこだわりすぎないことも必要なテクニックになってきます。
感情労働にやりがいを覚えている人ほど、このことを意識していく必要があるのだと思います。
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