273[ 思考力アップ=モチベーションアップ ]◎何事も否定的にとらえないことが、“いい習慣”になる⇒モチベーションアップ!

[ 思考力アップ=モチベーションアップ ]

◎何事も否定的にとらえないことが、“いい習慣”になる⇒モチベーションアップ!

素晴らしいアイデアを考えついたかと思えば、混乱して思考停止状態になってしまう頭のなか。

しかし、どのように物事を考えているのか、そのメカニズムについて

私たちはあまり関心を抱いてこなかったように思えます。

それだけに科学的に立証された脳の仕組みを知ることで、

的確な判断をくだす思考法のヒントが得られます。

<脳の仕組み>

脳に入ってきた情報はまず『大脳皮質神経細胞』で認識され、

次に『A10神経群』と呼ばれる部分に到達します。

ここで『好きだ』・『嫌いだ』といった感情が生まれ、その感情がレッテルとして情報に張られます。

次に情報を理解・判断する『前頭前野』へ入っていき、

自分に対してプラスの情報であれば『自己報酬神経群』へ持ち込まれます。

そして、自分にとって価値の高いものにするために『線条体―基底核―視床』

・『海馬回・リンビック』へと進んでいきます。

A10神経群から海馬回・リンビックまでの神経群を『ダイナミック・センターコア』といって、

このなかを情報がぐるぐる回りながら、人間は思考しています。

私たちの脳のなかでは、実に複雑な思考システムが機能しているわけです。

しかし、驚いてばかりはいられません。

思考力を高めるための重要なポイントがあります。

それは、各神経群の機能を守るために生まれてきた「本能」の働きと、

それを脳にとってプラスに作用させる「習慣」についてです。

まず、A10神経群は、自分を守りたいという自己保存の本能が基盤になっています。

たとえばテストで悪い点数をとると、自分を守るために『こんな点数は覚えておきたくない』

・『この科目は嫌いだ』というように好き嫌いが決められます。

そこで『もうダメだ』・『もう無理だ』と思いますと、脳の“否定語”として作用して、

脳の思考力をダウンさせてしまいます。

つまり、何事も否定的にとらえないことが、脳にとって“いい習慣”になるのです。

次の前頭前野で物事を理解して「正しいか」・正しくないか」を判断する基盤になっている本能が

「統一・一貫性」です。

私たちが「筋の通らないものはダメ」と判断するのは、すべてこの統一

・一貫性が基盤になっているからなのです。

それゆえ、その理由を問われても「いいものはいい」

・「悪いものは悪い」としか答えようがないのです。

実はそうした統一・一貫性を活用することで集中力を高められます。

「仕事をしていれば、嫌なことでも考えなくてはいけないことが当然出てきます。

そのときに大切なのは『環境の統一・一貫性』を保ってあげることです。

つまり、自分の脳がよく働く一定の環境をつくってあげるのです。

その環境のことを“マイゾーン”と呼びます。

それはトイレのなかだったり、蒲団に入って目を閉じた状態だったり、

人によってさまざまです。

しかし、マイゾーンに入っていると、集中力が高まって考え続けることができるようになるのです。

もちろん、オフィスに自分専用の個室がなくても一向に構いません。

デスクの周りを整理して、目に入るものは考えるのに必要な資料だけという状態に保つだけでも、

マイゾーンをつくることは十分に可能です。

そして次第に隣で同僚が電話をしていても気にならなくなり、

ダイナミック・センターコアのなかで思考を巡らせるようになっていきます。

さらに次の自己報酬神経群ですが、文字通り自分に対する報酬が与えられることによって

機能する神経群です。

では、脳にとっての報酬とは何でしょう。

人間には生まれながらにして持った『仲間になりたい』という本能があって、

脳に『人が喜ぶことが自分にとってもうれしい』と感じさせます。

つまり、貢献心が満たされるときに『自分にとっての報酬』ととらえ、

『自分でやってやる』という欲望へつながっているのです。

何かトラブルに巻き込まれて「嫌だな」・「面倒だな」と感じた途端に思考力が低下し、

解決策を見出せなくなるのです。

逆に「このトラブルを解決することでお客さまや会社の仲間を助けることができる」と

肯定型でとらえられれば、「最高の解決策を出す!」というモチベーションが生まれてきます。

また、自己報酬神経群は『もうできた』・『もう終わりだ』と思った瞬間に、

モチベーションを低下させる機能がありますので注意が必要です。

それは、「だいたいできた」と感じることで、無意識のうちに思考することをやめてしまうからです。

それを防ぐのには、目標達成の仕方にこだわることが重要です。

同じ売り上げ目標の金額を達成するのでも、目標まであと1割のところまできて

後は流して終わりにするのではなく、ほかの人が売れずに困っている製品を売ることに

こだわってみることです。

その売り方のコツを掴んでオープンにしてあげれば、組織全体の売り上げアップへつながって

皆から感謝されますし、何よりも自分自身の達成感が向上するはずです。

仕事の分野の違いはありましても、マイナス状況に直面した際、

それに背を向けたり怯んだりしますと、人間の思考力がダウンしてしまう点では共通しているのです。

何かと閉塞感が漂う世の中であるが、ここは一つ気持ちを前向きに切り替えて、

思考力をアップさせてみてはいかがでしょう。