293[ 演繹法と帰納法 ] ◎演繹法と帰納法、どっちがどっちだっけ?

[ 演繹法と帰納法 ]

◎演繹法と帰納法、どっちがどっちだっけ?

プライベートでもビジネスでも、筋道立てて結論を導き出して、

それを相手に伝えようとするとき、私たちはごく自然に論理的な展開を行っています。

そして、あらゆる論理的展開は「演繹法」と「帰納法」によって成り立っています。

皆さんも、おそらく学校の授業で習ったはずの演繹法と帰納法ですが、

意外とこの2つの違いを覚えているかたは少ないのではないでしょうか?

・・・演繹法と帰納法の違い、そしてビジネスでの役立て方を解説します。

≪演繹法は「一般論」から結論を導き出す≫

演繹的な論理展開とは、一般論や前提(ルール)に該当する事実(観察事項)から

結論を導く論理展開のことで、いわゆる「三段論法」と呼ばれるものです。

たとえば、「人は必ず死ぬ」というルールがあります。

そして、「ソクラテスは人間である」という観察事項があります。

この観察事項にルールを当てはめますと、「ソクラテスは必ず死ぬ」という結論が

必然的に導き出されます。

これが演繹的な論理展開です。

≪結論に違和感がある場合は「ルール」に注目≫

この演繹的な論理展開では多くの場合、ルールが省略されることになります。

何度も三段論法の要領で説明していたら、聞いている側はうんざりしてしまうでしょうし、

ルールを省いても、たいていの場合は不自然に感じることはありません。

ただし、これに慣れてしまいますと、主張する側が「自分の主張は

どんなルールがベースになっているのか」をあまり考えることがなくなってしまいます。

そうなりますと、少しおかしな主張をしたときに修正がきかなくなったり、

同じ事実をもとに議論していても話が食い違ったりします。

「そもそものルールが違っている」からです。 そこで、特に大事な主張をする場合、

「自分はどんなルールでこの主張をしているのか」を振り返ってみることが必要になります。

そして、意見が食い違ったときは、一度お互いどのようなルールなのかを確認しておくと、

話が平行線を辿るのを避けることができます。

≪帰納法は「事実」から結論を導き出す≫

夜間に「ビジネススクール」・「ロースクール」・「会計専門学校」に通うビジネスパーソンが

増えているという3つの事実があったとしますと、

「夜間、キャリアアップに役立ちそうなスキルを習得しようとする

ビジネスパーソンが増えている」という結論を導くことができます。

帰納的な論理展開とは、このように、事実を積み上げて結論を導き出すやり方のことを指します。

おそらく普段のビジネスシーンでも、こうした論理展開をするケースは多いでしょう。

≪取り上げた「事実」はそれで大丈夫?≫

帰納的な論理展開をする場合、結論を導き出すために取り上げた事実の扱い方に

気をつけなければなりません。

そうしないと、強引に結論を導き出したような印象を与えてしまうことになります。

気をつけたいポイントは次の2つです。

<ポイント1:事実の「量」>

これは「どの程度の量の事実を元にしているか」という点です。

いくら事実から結論を出したといっても、ある商品のニーズを探ろうとする際に

2~3人の声を聞いただけでは、説得力に欠けます。

市場調査などを通じてニーズをつかもうとするのは、母数の絶対数を少しでも増やすためです。

いくら論理展開として間違っていなくても、事実の量によっては、

導き出せる結論にも限界があることに注意しなければなりません。


<ポイント2:事実の「偏り」>

これは「取り上げた事実に偏りがないか」という点です。

よく「街頭インタビュー」と称して、街で聞き取り調査をしたりすることがありますが

街の選び方にも気をつけなければなりません。

学生が多い繁華街で聞き取った場合と、会社員の集まる飲食街で聞き取った場合では、

ヒアリング対象者がまったく異なりますので、結果はおのずと違ってくるはずです。

帰納法を使うときは、自分が活用した事実や情報、データに偏りがないか、

冷静に振り返っておかなければならないのです。

≪まとめ≫

上記の注意事項があります一方で、帰納法による論理展開では、

演繹法にはない「新たな気づきや発想」が生み出される場合もあります。

まとめますと、下記の二点となります。

<演繹法=「一般論」から結論を導き出す>

相手の話がおかしいと思ったときに、三段論法で言い直してみる。

自分の言いたいことが見えてきたら、「主張」・「ルール」・「観察事項」に分けてみる。

<帰納法=「事実」から結論を導き出す>

いろいろなデータが集まったら、まずは「共通点は何か」を考えてみる。

集めたデータから「新たな発想や気づき」を生み出してみる。

・・・という形で仕事の中で使っていくと良いでしょう。

また、普段から、「いま自分が演繹法・帰納法のどちらを使っているのか」を意識してみましょう。

そして、それぞれの特徴や注意点に気をつけていきますと、

あなたの論理はさらに質の高いものになるでしょう。 ・・・伝わる力量向上です!